4年+1年。東京五輪に挑む中田ジャパンの現在地

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

■監督としての中田久美像

私自身は2015/16シーズンからバレーボールを見始めていて、その頃はまだ中田監督が久光製薬を率いていたギリギリの頃だったのですが、基本的にはハートを求める監督だと思います。戦術も大事だけれど、代表を背負うだけのハートを持っているのか。特に今回は自国開催ということでのプレッシャーもあります。精神論、というわけではないですが、そこはかなり重視している印象です。

長年バレーボールを見ているあるファンの方によれば、中田監督時代の久光は、選手がコートに入ってくるだけで会場の温度が下がるような、それだけの緊張感を持っていたチームだったようです。鉄の掟を持つ組織、として新選組に例えていたほどです。

私自身は中田監督自体は、正直言うとあまりいい印象はありません。ただ、代表監督に向いていると思っています。厳しさがある一方、同性であるがゆえに選手に寄り添える強みもある。特に多感な若い選手が多いのだから、そこをケアできる存在がいるかどうかは非常に大きいと思います。

監督が表に出ることを批判する人もいますが、それは選手たちの盾になっているからでもあるわけです。そして、どの選手よりも監督の方が知名度がある方が、注目も選手より監督に向かうので、選手たちが少しでもプレッシャーから解放されるよさもあります。特に今は発言の一部が切り取られて批判が集まる時代です。特に五輪開催自体が注目を集めているだけに、発言もより慎重さが求められます。その注目を少しでも監督に向けさせるメリットはあります。そこから逃げない人ですからね、この人は。

また、監督にも指示するタイプと見ることに重きを置くタイプに大きく分けられますが、中田監督は完全に後者。作戦の指示はかつてはアクバシュ、今は相原コーチに任せて見ることに集中している印象です。

つまり、チームの掌握には長けていると思います。簡単に言いますけど、これけっこう難しいですよ。

さて。果たして結果はどうなるのでしょう。

決勝トーナメントには進出できるでしょうが、その後ですね。アメリカ、中国、ブラジル、ロシア、イタリア…強敵だらけです。ただ、自国開催ということは調整面では必ず有利に働くはずです。観客の後押しができないのは残念ですが、一ファンとして臨むのは、自分たちの持ち味を発揮してほしい、それだけです。何もできずに終わることだけはないように。と思います。

中田監督が就任時からずっと言い続けていることがあります。

それは、「伝説のチームを作る」ということ。今のロンドン五輪のメンバーみたいに、8年たっても東京五輪のメンバーがいつまでも語り継がれたらいいなと思います。