さて、中田ジャパンの主要国際大会の成績は下記です。※()内は前回順位。また、大会ごとに登録メンバー一覧にリンクしています。
2017年のワールドグランドチャンピオンズカップ(グラチャン) 5位(3位)
2018年の世界バレー 6位(7位)
2019年のワールドカップバレー 5位(5位)
可もなく不可もなくというところでしょうか。
なお、キーマンとなる佐藤美弥選手については2018年はケガのため出場していません。
※参考になる動画を見つけました。
私自身は2019年のW杯バレーを現地で見てますが、佐藤選手のトスワークが好きで、かつ新鍋選手の攻守の存在ぶりが好きだった私にとっては、まさに自分の理想のチームを見ている思いでした。
そこに古賀、石井選手のアタッカー陣、そして鮮烈な活躍をした石川選手で大いに盛り上がった大会でした(黒後選手は負傷もあってあまり出ていません)。結果自体は5位だったものの、中田ジャパンとしての一つの形がいったん出来上がっていたのがこの大会だったと思います(五輪の一年前ですしね)。あとはここからどう上乗せしていくか。その最終作業を2020年の大会までに行う予定、だったはずです。
■重かった「+1年」とそれがもたらした修正
ところが。東京五輪は1年延期になってしまいました。その結果、ケガが理由で佐藤、新鍋両選手は現役を引退します。キーマン2人を失ったわけです。そして、コンセプトを体現できるその2人の代わり、はいなかった。チームとして大きな修正を余儀なくされたわけです。
ではどうしたか。コンセプトを体現できる選手を集める、から、選手を見てコンセプトを決める、に方向転換したと思います。コンセプトありきではなく、選手ありき。といってもワンフレームバレーというコンセプトを放棄したわけではないです。修正を加えた、というのが正しいでしょうか。
その点で試したのが、初召集となったセッターの籾井選手です。5月に開催した中国との親善試合(東京チャレンジ)、そしてその後のネーションズリーグ(以下VNL)では正セッターとして起用されました。
※今、このメンバーを見返してみましたが、長岡選手が山田二千華選手に替わった以外は五輪代表と同じですね。
ちなみに、じゃあなんで今まで籾井選手を今まで招集していなかったんだと思われるでしょうが、彼女はペルー国籍で、日本国籍を取得したのが2019年12月からなんですね。この段階では2019年のW杯をベーストしたチームの総仕上げに入っていたので、召集はしなかったのでしょう。
なのでこの1年は事実上、籾井選手仕様にチームを切り替えたといっても過言ではないです。と同時に、元々やろうとしていたワンフレームバレーの精度を上げる、というのをVNLを通して行った、と言えます。VNLでほとんどメンバーを替えずに臨んでいたのは、そういう部分があったからと思います。
※長岡選手をギリギリまで残していたのは、籾井選手のJTでのドルーズ選手とのコンビネーションを代表でやろうとしていたのでは、という声もファンの中でありました。
代表メンバー発表会見でも、中田監督はあまり戦術のことは語っていない印象です。籾井選手についても、トスワークというよりはハートの話をしていますしね。