一言言わせてください。
解説者による試合のプレビュー、レビュー記事でよく「気持ち」という言葉が出てきます。最後に大事になってくるのは気持ちだ、敗因は気持ちで負けたことだ。
選手に失礼です。
気持ちだけで勝てるようなスポーツやってないですよ選手は。じゃあロンドン五輪の中国戦の勝因は気持ちだった、で片付けられたらどう思いますかね?
気持ちで勝った、劣った理由を解説するのが解説者でありライターの仕事です。気持ちだったら選手なり現場で取材できず見ているファンの感想と一緒です。誰ともどの記事とも言いませんが(なのでリンクも貼りません)。
おっと、失礼しました。ではなぜバラバラになったのか。
監督が束ねなかった、ということはあると思います。そしてまた、それまでの試合で自信を失ったことが大きかったと思います。そのことはこの後に書きます。
ただ、一つ思ったのは、このチームにはヒエラルヒーがなかったんですよね。
韓国でいうキム・ヨンギョンがいなかった。韓国は完全にキム・ヨンギョンのチームでしたよね。年齢も、そして得点源としての成績も。文字通りプレーで引っ張れる選手です。韓国って儒教文化なので上下関係がはっきりある、つまり有無を言わさない存在だったわけです。
キム・ヨンギョンは、準々決勝のトルコ戦でも主審に何度も抗議してレッドカードをくらっています。でも、それはチームを束ねるために必要と思ってやったこと。
日本にはヒエラルヒーがなかった。というより、ヒエラルヒーを作らず、いわば共和制だったと思います。前回のリオ五輪の時は木村沙織さんがキャプテンでしたが、ヒエラルヒーではなく完全に共和型でしたし、その点では最近の日本代表はヒエラルヒー型の伝統はないのかもしれません(かつてはあったでしょうが)。しいて言えば中田監督がヒエラルヒーだったのかもしれませんが、選手間にはなかった。
キャプテンは荒木選手でしたが、MBなので得点源ではないし、プレーでは引っ張れますが、強い言葉を出せる存在ではないのかもしれません。
その点私自身は小幡選手がそういう存在(ヒエラルヒー)になれると思っていたし、ネーションズリーグではテクニカルタイムアウトで相原コーチばかり話してJTのように彼女が話すシーンがなかったのですが、その主導権をどれだけ取り戻せるかがカギになると思ってました。
どれだけ彼女が仕切れるのかがもしかしたらポイントになってくるのかな、とも思います。コート上のことはコートにいる選手が一番わかっているわけですからね。
上述のブログより
ところが、合間合間には見られましたけれど、いわばチームを掌握している状態にはなってなかった。そりゃ、JTと代表では役割が違うから致し方ないのですが。
ただ。ヒエラルヒー、とまでは言わなくても、プレーでも言葉でも引っ張る存在になろうとしていた選手がいます。
その話は後ほどします。次は中田監督についてです。