■試合前で既に負けていた
さて、この韓国戦ですが、最大の敗因はここではありません。
第一セット、もっと言うと試合前、です。この日のスタメンは、ケニア戦の負傷から到底間に合わないだろうとされていた古賀紗理那選手のスタメン起用にも驚きましたが、田代(籾井)、林(黒後)、山田(島村)とメンバーを大幅に入れ替えてきました。
これはおそらくですが、奇襲だったのでしょう。古賀選手の怪我も捻挫ということになっていますが、もしかしたら打撲だったのかもしれません。情報戦というのはそういうものです。
※ちなみにケニア戦でのあの倒れ方は、怪我の衝撃というよりは、何が起きたかわからずパニックになったことによるもの、の可能性もあると思ってました。
また、石川、山田の両選手は2019年のアジア選手権で韓国を破ったメンバー。山田選手の起用はその相性をかったのかもしれません。
ところが、第一セットは韓国にリードされ3-7となってあわてて山田選手を島村選手に変え、5-10となったところでさらに田代→籾井、林→黒後と、結果的に元に戻しています。
このスタメンはいったい何だったのか?
いや。
このスタメンはいったい何だったの?
私なりの解釈ですが、奇襲を仕掛けたつもりが、自分たちがバタバタしたということです。
まあさすがに韓国があのスタメンまで読んでいたことはないでしょうし、勝手に日本が自滅したんです。
ではなんで自滅したのか。二つの理由があると思います。
1.五輪での試合出場時間があまりなかった
2.ぶっつけ本番だった
まず1。特に山田選手は過去の試合出場がありませんでした。本来なら大差がついた場面で一度は投入して五輪の舞台に立たせて少しは慣れてもらうことが必要だったと思いますが、過去のケニア、セルビア、ブラジル戦はそれなりに大差があったものの、それもなし。いきなりスタメンで起用して、挙句の果てに5分もたたずに引っ込めている。しかも今大会での彼女の出場はこれだけでした。
人の気持ちをないがしろにするのも大概にしろ、です。
2については、ネーションズリーグ含め、このパターンを試していた記憶がありません。なにせ固定メンバーで頑ななまでにずっと戦っていたわけですし。その弊害が思いっきり出ました。選手たちも戸惑ったことでしょう。だから、序盤5-10と引き離され、結果その差を詰められず19-25で第一セットを奪われました。
韓国に対して奇襲を仕掛けたつもりが、自分たちに対して奇襲を仕掛けていた。
何のシャレにもなりません。
逆に言えば、ベンチの失態を選手たちがフルセットにするまで取り返したと言えます。
もし試合後に中田監督が選手を前に「私のミスだった。ごめんなさい」と言えばまたチームの雰囲気も変わったのかもしれませんが、ドミニカ戦の選手たちを見ればそんなこともなかったのでしょう。
ちなみに協会に韓国戦のコメントが出ていますが、起用に関するコメントは全くありません。
これで選手たちの気持ちも、さらにバラバラになったのではないでしょうか。
そう。バラバラ。
今回の大会で見ていて何よりつらかったのは、選手たちの頑張りが輪にならなかったこと。