個人的にV1女子で今シーズンよかった、と思うもの、会場編に続いては選手以外のスタッフ、そして試合についてです。
スタッフ・試合編は以下の6部門からなります。
- 最優秀監督賞
- 最優秀ベンチスタッフ賞
- 最優秀スタッフ賞
- 最優秀ホームゲーム賞
- 最優秀ゲーム賞
- 審査員特別賞※新設
最優秀監督賞:アントニオ・マルコス・レルバッキ監督(埼玉上尾メディックス)
Vリーグ女子唯一の外国人監督だったわけですが、二年目の今シーズンは本領発揮という印象でした。
元々昨シーズンはシーズン途中からの合流を余儀なくされたわけですが、その中でチームは終盤に向かって浮上。VCupでは見事優勝を果たしたわけです。二年目となる今シーズンはどんなチームになるか。私自身も楽しみにしてました。
成績自体は5位と昨シーズンと同じ結果に終わったわけですが、日本人監督とは違った采配ぶりが何より印象に残りました。例えば。私が見に行った試合では、第二セットで0-1となったとたんにロレンネ選手を下げたんですね。ちょっとでも悪いプレーを見せたらすぐに替える。それ以外でも「ここでもう替えちゃうの?」というシーンが多かったです。
日本人監督なら「今回はミスしたけれど次取り返してくれるだろう」とか「たまたまああいうプレーになっただけだろう」と、情が先だって積極的な交替はしない印象ですが、マルコス監督はそんなのお構いなし、という感じでしたね。
つまり「お前のこういうプレーがダメだ」ということをはっきり示しているわけで、基準がわかりやすいんですよね。ベンチ裏で試合を見たとき、下げられる選手もどこか納得した表情を浮かべていたように見えました。まあ後、いつ選手が替わるかわからないから、控えエリアの選手たちのモチベーションも全然違いますよね。上述の0-1での交替でも、交替を告げられた山口選手が多少は慌ててましたけれどサッと出て行ったので、いつ出ても大丈夫なようにしていたのでは、と。
試合中は激高することも多くて、ドリンクケースを蹴飛ばすなんてこともありましたが、選手に喝を入れる部分もあったのかなと。勝ったときは選手たちと一緒に喜んでいて、選手たちとの信頼関係はあったんじゃないかな、とは思います。
上の左の写真は、監督自ら交代札を渡してますが、こんなシーン、Vリーグで初めて見ましたよ。どこか神父様が交代札を授けているような、神々しい光景にも見えます(笑)。
一度埼玉県立武道館のホームゲームを見に行ったときに偶然通路でマルコス監督とすれ違って、びっくりしてつい会釈したら「オハヨウゴザイマース」って言われてびっくりしました。いい人ですよ(笑)。レッドカードを出された試合のコメントをぜひお読みください。
監督というのは難しい仕事です。選手とも審判とも喧嘩しなければならない。私は喧嘩が好きなわけではありません(笑) よくなってほしいからこそ、意見は言いますが。人生のほとんどをバレーボールで生きてきたので、思いが強いだけです。悪い人だと思わないでください(笑)
上述のバレーボールマガジンの記事より
残念ながら今季限りで勇退が発表されてしまいました。ですが独特の選手起用をはじめとした、選手への愛情、というのは感じ取っていただきたいなと思いました。怒っているだけじゃないよ、と。お疲れさまでした。
あと、指導方法の違いについて触れているこの記事もぜひ。やっぱり日本とは違う文化を持ち込むことで視野が広がったり、新たな視点が持ち込まれることで、その競技がより豊かになると思います。外国人監督を招聘した埼玉上尾には本当に感謝です。