松井共和国~松井珠己とデンソーエアリービーズ21/22~

デンソーエアリービーズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

2021年10月。秋田大会で8カ月ぶりにデンソーを見た。前回見たのは2月の三位決定戦だったから、メンバーがガラッと入れ替わったデンソーを見るのは初めてだったので、ちょっと楽しみにしていた。

久しぶりに見たデンソーは、予想以上にすっかり松井珠己のチーム、になっていた。歌のお姉さんの面影はなくなっていて、ちょっとおっかない学校の先生になっていた。メンバーを見れば、横田、兵頭、工藤、中元、東谷、福留…みな、松井選手と(学年的に)同期か年下だ。ある意味、松井珠己のためにチームを編成しましたと言わんばかり、だった。

要は彼女が遠慮する必要など全くないんだなと。一方、年上である森谷キャプテンと小口選手は、遠慮させないよう彼女をサポートしている印象を受けた。特に森谷キャプテンは、松井選手がサインを出すと「OK!」と言ったり大きく頷いたり、わかりやすいリアクションを取っていた。ウチのチーム(どことは言わない)ではセッターがサインを出してもシーンとしたりノーリアクションなので(苦笑)、こういうリアクションはセッターにとってはとてもうれしいだろうなと思ったし、先輩がそう言ってくれたら何より安心するのではないだろうか。

他にも、自軍のサーブの時にもその合間を惜しむかのように選手に声をかけていた。サーブの時間を活用して選手と話す(というより指示?)セッターはあまり見た記憶がない。そこも惹かれた。試合は土日共デンソーが勝ったのだが、日曜日はフルセットにもつれ込んだことに納得がいかなかったのか、ハロウィンの記念撮影をした後に悲しそうな表情をしていたのも印象的だった。

それから3週間後。私は札幌にいた。別のチームのファンの私がなんで札幌までデンソーのホームゲームを見に行ったのか、を説明すると長くなるのでそれはまたいずれの話になるけれど、デンソーの試合があったことも行く理由の一つにはなっていた。デンソーはその時点で6勝2敗で5位と、JTやNECといった上位対決こそないものの、ある意味私の予想通りの戦いを続けていた。

対戦相手の埼玉上尾は4勝4敗の8位だったけれど、試合自体は拮抗して盛り上がった。当然松井選手も奮闘していた。ここからは秋田と札幌と合わせて感じたことを、写真を織り交ぜてご紹介したい。

彼女の特徴は、こうして指を使って明確に指名して、指導することだ。こういうところが先生を彷彿とさせるのかもしれない(実は教員免許を取得しているのではないだろうか…笑)。

また、外国人選手とも積極的にコミュニケーションを取っている。当然英語などの言語を使っているのだろうが、それを使いこなせているということだ。外国人選手とここまで密なコミュニケーションを取っているセッター…いるかもしれないが、あまり思いつかない。

また、トライアウトを経て加入した髙橋愛莉選手は高校時代一緒だったので(学年では一つ下だが同じ1998年生まれ)、その仲の良さを生かしてというか、アドバイザーになっていた。松井選手を先生…いや、教授とすれば、いわば助手である。

ただ、何より彼女の統率力に惹かれた。