熱闘沸闘圧闘レッドロケッツ

NECレッドロケッツ川崎
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

個人的に今年のレッドロケッツのターニングポイントというか大きかった試合は1月の大田大会だったと思う。これまで負けていた日立との最後の対戦に勝って苦手意識を払拭したい。そんな気持ちが今にして思えば出ていた試合だった。まず印象に残ったのがこのシーン。タイムアウト中に上野選手が近江選手に何かアドバイスをするのだが…

その後にまたタイムアウトがあって、再び上野選手が近江選手にさっきの続きなのか、話を続けるというもの。おそらくだけれど、控えエリアにいて気づいたことを指摘していたのではないだろうか。控えエリアの選手も積極的に意見を言う。レッドロケッツならではかなと思った。

そしてこのシーン。最終セットにもつれ込んで、5セット目も日立にリードされてコートチェンジしたとき後に見られた光景だ。ニコロバ選手がなにか強い口調で言った後、プレーを挟んで近江選手が改めてニコロバ選手に何か話をしてみんなでまとまるという。

個人的にこのときの左の柳田選手の表情が好きだ。「何とかなりますよ」みたいな妙な安心感というか、癒しを与えてくれる。熱くなるニコロバ選手をどこか冷ますかのような。

結局この試合はレッドロケッツが制するのだが、約一ヶ月後の岡山でのファイナル6で再び対戦した日立をストレートで下したのもこの試合をものにしたからだと思う。

ただ。前にも書いたけれど、このとき古賀ちゃんはコートにいなかった。

だからこそ。ファイナル第二戦は足がつっても絶対にコートに居続けてやるって思ったんじゃないだろうか。このときの悔し涙を喜びの涙に変えるために。だから私も、アイシングをする古賀ちゃんをテレビで見ながら、コートに居続けろ、居続けろって思い続けていた(山田監督としてはゴールデンセットに持ち込まれた場合負傷離脱は避けたかったはずで、難しい采配だっただろう。でも、賭けたんだと思う)。

なので、優勝の瞬間、古賀ちゃんが泣き崩れたのは個人的にはものすごく感動したし、今まで常に笑顔を絶やさなかった近江選手もさすがに泣いていた。今までためていたものが一気に吹き出してきたのだろう。

赤は刺激色といわれる。強さの象徴でもある。プレゼンとかは赤のネクタイをしろと言われるくらいだ。

レッドロケッツはまさにその「赤」を体現するチームだ。

何より熱く、その熱さを常に沸き立たせ、その熱さで闘い相手チームを圧倒する。このチーム、そしてこの選手たちを見ればきっとあなたの心も揺さぶられる。そして、きっと、元気になれる。あなたも心一つになれる。

優勝おめでとうございます。

あ。

レッドロケッツに興味を持ったのなら、ぜひ月刊バレーボールの2017年1月号を読んでいただきたい。レッドロケッツの舞台裏がより楽しめるから。近江選手は予想通りのキャラだったし。古賀ちゃんは少しずつプレーに余裕が出てきたけれど、ファインダー越しに、まだいっぱいいっぱいのところがあるなと。

でも、近江選手というお手本がいるのだから、いつかは余裕漂わせて、古賀紗理那のレッドロケッツになるといいなと。そして関西のおばちゃんキャラも引き継いで…

あ。それは引き継がなくていいな(笑)。