熱闘沸闘圧闘レッドロケッツ

NECレッドロケッツ川崎
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

余裕という点ではセッター・山口選手のサインの出し方もそうだった。どこか笑みを浮かべながら。終始余裕を漂わせていた。「まあわかっているけれど一応言っておくね。次はこれだからね」とか「ちょっと次はこれでいってみようか」みたいな出し方は他のセッターには見られない光景だった(正直真逆の、一種の悲壮感を漂わせるセッターもいる。個人的に山口選手の出し方に似ていると思うのはトヨタ車体の比金選手だ)。

そしてもう一つ。

船橋大会は控えエリアのすぐ側で見ていたんだけれど、試合開始でスターティングメンバーと控えメンバーに分かれて、控えエリアに控えメンバーが集まったときに、確か柳田選手だったと思うんだけれど「心一つに!」と叫びだしてみんなで円陣を組んでいた。おそらく、だけれど、スタメンがコート上でやっている儀式と全く同じことを控えエリアでもやるのがレッドロケッツの流儀なのではないだろうか。川崎大会でやっとその様子を撮ることができた。控えエリアの選手たちとセッターのサインの出し方を見ればそのチームがわかる、というのはVリーグ観戦1年半ちょっとでつかんだ私なりの持論だ。

余裕という点で印象に残ったのがもう一つ。2月のファイナル6初戦の岡山でのことである。この日は三試合で、初戦の東レ対JTはいきなりフルセットにもつれ込む試合だった。東レが勝ち、木村沙織選手がヒーローインタビューを受け、コートを去った直後にレッドロケッツの選手たちが入って、いつものように円陣を組んだ。

まだ木村沙織選手の余韻の漂っているコートを、一瞬にしてレッドロケッツの空気にした、と思った。まあフルセットにまでもつれ込んだことでまだかまだかと待ちくたびれていたのかもしれないけれど(笑)。ただ、これがレッドロケッツだなと思った。円陣を組んだり、あっという間に会場を自分たちの空気にしてしまう。貫禄ではなくてオーラというところだろうか。ちなみに左の近江選手の写真みたいに、少し胸張ってどこか肩で風を切るように歩くと気分がリラックスできるので試してみてください。

あと、とにかく選手たちがタイムアウトで積極的に声を交わす…というより議論をしていて。これはファイナル6の岡山大会だけれど、このあたりも風通しの良さを感じていた。先輩後輩遠慮なく言いたいことは言う。おそらくだけれど、古賀ちゃんも積極的に言うようになったと思う(月バレでもそんなことが書かれていた)。