I want ARROWS to come~東レアローズ滋賀24/25ファイナル~

東レアローズ滋賀
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実は私が始めた応援もある。ヌワカロール選手を鼓舞するために、サーブに向かう時からサッカーのチャントのように「(手拍子)フォルーツァ シッソ!」(フォルツァはイタリア語で頑張れ)とやるようになった(※だんだんマネする人が増えてうれしかったです。ありがとうございました)。また、どうしても男の大きな声にかき消されがちで声が届きにくい女子のために、野球ではよくある女性パートを導入しようとして、深澤選手のサーブの時に「(男性)つぐみ!(女子)いけー!」を提案したのも私だ(これはシーズン最終盤からなので定着はこれからだが)。

あと。個人的に選手を鼓舞する際言葉を選ぶようになった。例えば「いくぞ!」ではなく「いけるよー!」。これは、私が大好きな愛知のZIP-FMのナビゲーター・白井奈津さんの影響だ。彼女は誕生日を迎えたリスナーに「いい一年になりますように」ではなく「いい一年になるよー!」とよく言うのだが、こう言い切られた方が元気にならないだろうか。なのでネガティブ志向に陥りがちと思う選手にはそういう声のかけ方をした。ちなみに谷島選手には「おりゃあ、リサいくぞー!」と気合系にするが(笑)。

とはいえ。勘違い、そして誤解してほしくないのは、確かにこれらの応援は一部のアロともが始めたものではあるんだけれど、これは何も強制しているわけではないし、ウケなければ少しでも多くの方に参加していただけるよう、都度アップデートしている。そしてこれを読んでいるアロともが「私もこの選手をこういうコールで応援したい」と思えば、それを始めてもいいのだ。それに賛同する人は自然と乗っかってくるわけで(私のシッソコールもそうです)。それが不安なら、持ち掛けてみれば彼らも一緒にやって広められるようサポートしてくれるかもしれない。

そして。これは一部のアロともがチームや選手と結託しているのでは決してない。あくまで自発的だし、そして別に推しに声出しをアピールしたいわけでもない(ちなみに私、そもそも推しいないです)。あくまでも応援したいという一心だから、ホームやアウェイで試して、さらに良くするために試行錯誤をしているのだ。

一つ言いたいのは、観戦するのも楽しいけれど、参戦するともっと楽しくなるということ。そう思うし、ウチはサーブの時にまで楽曲は被せないので、あなたが応援に参入できる余地はけっこうあるのだ。だったら、どんどんやってみないともったいない。そういうことだ。これ、他チームでは余地がなくてできないケースもあるので。

MCの藤原さんもそうだけれど、アロともがいろいろできる「余地」を用意してくれた、それがウチのホームゲームの特徴だと思う。言葉を変えればアロともに委ねてくれたということ。

 

そしてもう一つは、地元の方々のアロとも化だった。今シーズン、SVリーグになったこともあったのか、平和堂がスポンサーになったこともあるのか、そして各自治体と連携協定を結んだこともあったのか、地元市民の無料招待というのは間違いなく増えた。ただ、そこにはちゃんと戦略があった。いわゆるタダ券のバラマキではなかった。チケットは必ずチケットVからの申し込みとチーム公式LINEの登録が必要で、ちゃんと後からリーチできるようになっていたし、詳しいことは明かさないがLINEならではの特典もあった。

シーズンが進むにつれ、「あ、あのご家族、前も来ていたな」という明らかな地元の方々が増えていったし、その方々の座る席はだんだんコートに近づいてきたし、最後はウチワなど自作のグッズを持ってくるようになっていった。試合後に開催される推しクジ(その日の試合中に発表される四人の選手のグッズを持っていれば、試合後に行われる記念撮影に参加できる)の参加者は徐々に増え、そして子供の姿が明らかに多くなっていった。開幕節とシーズン最終節の投稿を見れば一目瞭然だ。そして何より、入場者数は右肩上がりで満員御礼も何試合か出た。

ではなぜこうなっていったのか。それは、滋賀の置かれている環境にもあると思う。