この試合、スタメンのOHは深澤・谷島里咲選手のコンビだったが、第四セットから谷島選手に替わって大川愛海選手が出場した。たいてい一度下げられるともう出てこなかったりその選手との交替が多いのだが、この試合では谷島選手は深澤選手との交替でリリーフサーバーで出場。これは前日のサーブ効果率の高さを買われたのに加え、後衛時の守備力の強化という目的もあったのだろう。そしてフルセットにもつれ込んだこの試合、最後を締めくくったのも13-13から出場した谷島選手だった。


この試合のように、OHの二枠を深澤、谷島、大川の三選手で一試合の中でローテーションするようになったのが、今シーズンの東レアローズ滋賀の選手起用の特徴だった。一言で言うと、攻撃力の深澤、守備力の谷島、万能型の大川といったところか。それぞれの選手の持ち味を、試合展開に応じて柔軟に使い分ける。これができるようになったのも、各選手が「私は何でこのチームに貢献できるのか」を見出したからだと思う。攻撃も守備も、ではなく得意なものを武器とする。特に大川選手はユーティリティーという自分なりの長所を見出したのでは…。
ありきたりな言い方だけれど、選手個々が光り輝くようになったのが終盤の東レアローズ滋賀だった。9位転落の可能性もあった1月から、12連勝のときはチャンピオンシップをホームで開催できる4位以内も見えたしそれは奇跡だったんだけれど、相手が姫路、大阪チームと上位だったのもあるけれど最終盤に失速したのもある意味ウチらしかった。取りこぼした試合の多さとフルセット勝ちの多さ(ポイント数で不利になる)で結果的に7位になったが、最終節でも5位の可能性を残すほど躍進したのは大きかった。何よりプレーオフに大事なのは勢い。その点ではウチは有利だった。7位でも大いに可能性はある…。
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アロとも(東レアローズ滋賀ファン)にとっても2024/25シーズンは期待より不安が上回る船出だった。SVリーグになったことでホームゲームの運営にまで大きな変化を余儀なくされ、MCの導入、応援の楽曲の刷新等々、今まで応援団が担っていたことがいわば奪われたこと、が心配だった。果たしてホームゲームの雰囲気はどうなるのだろう。MCの人はどんな人なんだろう。出しゃばったり自己陶酔型とかじゃなきゃいいんだけれど…。楽曲変わっちゃってワッショイとかなくなっちゃうんだろうな…。
最初のホームゲームの前日にチームの公式SNSに公開された青い色のコートは、そんな私の不安をさらに助長させた。発注を間違えたのでは、いや、男子と素材を共有したので男子が使わなかったものを女子が使う形になった(簡単に言うと余りもの)としか思えへん…。大丈夫なんやろか、ウチ。
と、たった半年前ってそんな状況だったのかとシーズンが終わった今なら笑って言える。今と真逆やん。めっちゃ杞憂やったやん、と。
まずMC。藤原了さんはMCを自己主導型(強制)と観客主導型(非強制)で分ければ完全に後者だったし、観客の心に火をつけるのが非常にうまかった。最初は手探りだったと思う。自分、アロともに受け入れられているんかな、と。でも藤原さんは関西人の気質なのだろう(笑)、ファンの中に飛び込んでいくのもうまかった。何より試合前の来場者インタビューを重ねるうちに、アロともの気質を学んでいったと思う。