現在①:エネルギー産業の町・酒田
庄内地方は25万人と、地域としては決して多い人口ではありません。ただ、庄内空港があるため、東京からのアクセスは実はいい地域です。一時間で行けますし便数も一日五便と多い(これは酒田市としても便数の維持には力を入れているようです)。酒田港があるため海外のクルーズ船も年に八便来るようです。
ではそんな庄内地方を支える産業は何か。一つは漁業(イカが名物です)、そして農業(庄内米、庄内柿、あと実はメロン)。鶴岡だと絹織物の一大生産地です(実はこれは庄内藩士が明治になって開墾したもの)。ですが、目立たないものにエネルギー産業があります。
まず酒田には酒田共同火力発電所という発電所があります。そして、これが大事な話なのですが、実は庄内は油田があり、さらには天然ガスも採掘される地域なのです。これは私もアランマーレに興味を持ってから知りました。
例えば。アランマーレのスポンサーのサイトを見ると、最上段に掲載されているのはJERA。プロ野球のセ・リーグのタイトルパートナーでおなじみですが、日本最大の発電会社です。そして、今年からネーミングライツを獲得した酒田のINPEX酒田アリーナのINPEXは、CMでもおなじみの石油開発企業。グループ会社に酒田天然瓦斯株式会社があるなど、酒田とのつながりは強いんですね。
なんでこれらの大手企業がアランマーレを、そして酒田を支援しているんだろうと思って調べて、酒田が実はエネルギー産業の町だと知ったんですよね。であれば庄内空港が一日に五便も羽田と結んでいるのも納得です。正直、観光だけでは五便も飛ばさないと思いますし、ビジネス需要あってだと思います。
あともちろん、この町の規模ですから、プレステージインターナショナルの山形BPOも酒田市にとっては貴重な顧客と言えます(1000席もある、同社で二番目に大きい拠点です)。
現在②:駅前に建てた図書館という交流拠点
私は酒田という町がどんな魅力的な町なのかを紹介するときに真っ先に上げたいのが、駅前にある交流拠点施設「ミライニ」。2020年にプレオープンして2022年に本格稼働した施設なのですが、核となる施設が図書館、というところに酒田という町が凝縮されていると私は思います(他にも観光案内所、バス乗り場、売店、ホテルとフランス料理店もあります)。
普通、駅前に新たな施設ができる、となるとたいてい商業施設になりますが、まあ2021年に山形唯一の百貨店が閉店したような町には不向きだったというのもあるでしょうが、「酒田は文化の町」というのを前面に押し出そうとしているのではと思うんですね。事実、SAKATARTというプロジェクトもあります。私が行ったときにはJR酒田駅構内に展示スペースもありましたし、土曜の夜には「SAKATART time BAR」と題したフードイベントも開催してました。
私も行きましたが、酒田にあるビール、日本酒、ウイスキー、ワイン、焼酎の製造メーカーが一堂に会していて(全部揃うのも何気にすごい)、にぎわってました。要は図書館ではあるけれど、ここを市民たちが集まれる場に、そして交流のできる場にしようということだと思います(図書館で酒が飲めるというのもなかなかすごかった 笑)。
しかし交流拠点施設と銘打つのに図書館を核にしたところが酒田という町を何より表しているのでは…。ここに来れば本はおろか新聞も読めますし、Wi-Fiも提供しているので勉強だったり何なら仕事もできちゃいます。書店のない町が増えていますが、図書館があれば本も読めますし、本があるということは何より文化の拠点ですよね。
図書館ということで学生からお年寄りまで、人が集える場になっているんですよね。でもそれは昔からといいますか、港があり、北前船が寄港したことでいろんな文化が交流する拠点が酒田だったんですよね。だからあえてこの施設を「交流拠点施設」と銘打っているんじゃないかなと。しかも9時から21時までと遅くまで開いてますし、土日もやってます。
そんな酒田ですが、災害と戦う町でもあります。元々日本海に面していて風も強く厳しい寒さに見舞われる街ですが、その昔は中心部を酒田大火が襲いましたし、この夏の水害は記憶に新しいのではと思います。
そして。庄内も他の地方都市と同様人口減が続いています。特に酒田市はついに10万人を割り込んでしまいました。そんな中で今年の2月に入ってきたニュースが。ここから、アランマーレ山形にも関連する話になってきます。