次期監督のカギは「国際化」を巡る議論
では次期監督はどんな人がいいか、ですが、私は「日本化」を進める人がいいと思います。先日、次期監督候補の記事が出たときの、協会関係者のこのコメントに対してなぜか男子ファンまで拒絶反応が多く見られましたが、私はこのコメントに同意です。
外国人監督を推す声もあるが、日本協会関係者は「日本独特のバレーを理解していないと、チームの形を作るのに時間がかかる」とも指摘した。
スポーツ報知「バレー女子日本代表、吉原知子氏が次期監督の有力候補に Vリーグ2部のJTを1部昇格→2季連続優勝に導く」
はっきり言わせてもらうと、体格もパワーも劣る日本が世界標準に合わせてどうするんでしょうか。海外のマネをしたところで、体格もパワーも上回る相手に勝てるのでしょうか。それこそさっき述べたイタリアに対するアメリカのように、自分たちのバレーに引きずり込まてしまうだけでは?
日本はお家芸ではないですけれど、世界と戦うための日本独自の戦い方を見出す必要があると思います。例えば長年提唱されている「低く速いバレー」はその一つだと私は思います。サッカーも、力で劣るチームが上位のチームに勝つ常套手段はカウンターだったりしますし(ボールをなかなか持てないので)。簡単に言えば守備を固めての奇襲攻撃ですね。
例えばですが、「ブロードの時代は終わった」という意見も見ましたけれど、他がやらないからこそ日本がやってもいいのでは…とか(誤解されないように言いますが、かつての推しを選べと言っているわけではないですよ)。
仮にトルコ代表のサンタレッリ監督を呼べたとしても、日本のバレーボールは海外のそれとは違いますから、すぐに結果は出せないと思います(見てはみたいけど…)。しいて言えば、ポーランドの監督だったラヴァリーニ氏は東京五輪で日本人と体格も近い韓国代表の監督で、かつ東京五輪は4位に導いているので彼ならいいかもしれませんが、もう既にミラノの監督就任が決まっているようです。
とはいえ、世界標準を無視しろという意味ではありません。世界標準を知った上で日本の最適解を見いだせる人は必要です。要は「日本独特のバレーを理解していないと」というのは、現実を直視できる人というかな。「海外ではこういうバレーが」と理想しか語れないと、夢物語で終わりますよね。私はそう解釈しています。決して閉鎖性とか「海外を無視する」ということではないと思います。
最適解を見出せる人は海外のチームでコーチをしていた日本人か外国人がいいと思いますが、それは別に監督でなくてもよくて、コーチなどスタッフにいるのが理想だなと。これはチームにもよりますが、監督が全て仕切っているわけでもなく、戦術とかはコーチが仕切ったりしますからね(監督は矢面に立っているだけという側面も…)。
その点でうってつけだと思うのは、かつて埼玉上尾で監督を務め、昨シーズンはデンソーでアドバイザリーコーチをしていたマルコス・レルバッキ氏。デンソーでも試合は彼が仕切っていたように見えましたし、影の監督としての役割は十分果たせそうです。次期監督として名前の挙がっている方は試合中はずっと座っているのに対し、マルコス氏は動きまくりますから、静と動でいいコンビでは(笑)。
あと、海外を知るコーチという点では、手前みそになりますが今シーズンから東レに加入した林謙人コーチはまさにそうなので(昨シーズンはイタリアのチームでコーチをしてましたから)、コーチとしてスタッフ入りしたらいいなと思います(既にU18のコーチをしてますしね)。
監督について一つ言えるのは、アテネ五輪からの女子代表監督は、雑な分け方をすると眞鍋派と非眞鍋派で交互に選出されている印象なので(バレーボール界でも派閥争いはあるでしょう)、上述の報道に出ていた人の可能性は高いんじゃないかなと思います。日本のバレーボールを知り尽くしている人ですし、Vリーグで優勝という結果も出しましたからね。個人的には二部からここまでのチームに引き上げたその手腕が何よりいいと思いますし(個人的には代表監督はチャレマを経験しているといいと思うので)、日本も引き上げてくれそう。
日本をよく知り、日本化を進められる監督と、日本と海外の比較軸を持ち、世界と戦うため策を考えられるコーチ。このコンビなら面白そうと思うのですが、さて、どうなることやら。
さて、最後に個人的に次期代表に名を連ねてほしい選手と、核になってほしい選手がそれぞれ二人います。皆さんも、ぜひ代表に入れたら面白い!という選手、核になってほしい選手、考えてみてください。