パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その3~活性化と明確化~

日本代表
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

大学選手起用によるすそ野の拡大

その1でも書きましたが、宮部愛芽世・佐藤淑乃両選手の抜擢です。いや、代表メンバーに登録する、というのはありがちだと思うのですが、VNLや世界選手権への登録はまた別の話ですし、さらに試合で起用しましたからね。

これによって大学の選手も、自分たちも代表入り・出場の可能性があるんだという目標ができますし、大学のリーグ戦で対戦して彼女たちのプレーを間近で見ることで、代表入りの基準もわかるんですよね。大学の選手たちが代表を身近に感じられる。そんな効果もありました。

あとメディアも大学バレーに注目するようになりますし、ファンも「代表で活躍する彼女たちを見に行こう」となりますから、大学バレーが盛り上がる。こういう、代表を活用してVリーグに限らずバレーボール界全体を盛り上げる、というのは眞鍋さんは得意というか、重視していたことだなと思います。
※この二人を起用したのは眞鍋さんが立ち上げた姫路に入れるためだと陰口をたたいていた人、あの、そういうの本当にやめた方がいいです。

紅白戦のコンテンツ化と活用

個人的によかったなあ、と思うのがこれです。2022年は世界選手権壮行試合として岡山と姫路で計4試合、2023年は沖縄でのミズノマッチ2試合(※台風で中止)と佐賀でのフェスの計3試合、2024年はさすがにVNL、そしてパリ五輪もあり能登地震のチャリティーも兼ねたかほくで1試合のみでしたが、紅白戦を多く組んでいるんですよね(ちなみに中田前監督時代での公開での紅白戦はなく、2019年の深谷での国際親善試合のみ)。

私は2022年の岡山しか行ってませんが、普段は敵として対峙(とはいえそこまでの敵対関係はないですけど)する他チームのファンと、同じユニを着て同じチームを応援する、という光景はなかなかいいなと思いました。日本代表ファンのすそ野拡大には大きくつながったと思いますし、何より駆けつけているファンの中で連帯感が生まれたなと。特に2022、23年は8月の開催と学生の夏休みに重なっていたので、若い人が行きやすかった効果もありましたね。場所は遠かったけれど、夏休みの小旅行を兼ねた人も多かったのでは。いい思い出になったことでしょう。

もちろんグッズも売れますし、佐賀のフェスやかほくのアリーナ竣工記念&チャリティーのように紅白戦ありきというよりはあくまでイベントが主で、その一部として紅白戦があるみたいにコンテンツ化していたのがいいなと。こうすれば誘致しようとする地域も出てくるかもしれませんね。なんなら巡業にしてもいいなと思います。全国アリーナツアー、は大げさだけど(笑)、野球でいえば持ち回りのオールスターに近いかな。

国内合宿も東京のトレセンばかりではなく薩摩川内や沖縄など、気分転換も兼ねてなのか遠くでやることも多かったですし、薩摩川内では公開練習、沖縄では紅白戦(台風で中止になっちゃいましたが)と、ファンに見せる機会も多く作ってました。たぶんこれも気分転換というか、普段やっている練習や試合を、大勢の方に見ていただいて一定の緊張感だったりモチベーションを与えていたのでは。