パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その3~活性化と明確化~

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

パリ五輪では予選ラウンド敗退に終わりましたが、VNL準優勝という成果は挙げた第二期眞鍋ジャパン。この三年間はいろんなことがありました。その1その2ではパリ五輪に至る過程とその結果について書きましたが、それを内的な考察とすれば、ここでは外的な考察です。

キャプテン・古賀紗理那という明確なヒエラルヒー

第二期眞鍋ジャパンの三年間は、ずっと古賀紗理那選手がキャプテンだったんですよね。ちなみに眞鍋さんはいつも五輪に向けてキャプテンは固定していて、2012年のロンドン五輪は荒木絵里香選手を2009年から、2016年のリオ五輪は木村沙織選手を2013年から据えています。エースアタッカーをキャプテンに据えるのは、このリオ五輪を踏襲していたと言えます。

私は中田ジャパンの振り返りで「ヒエラルヒーがなかった」と書きましたが、今回ははっきりありましたね。言いたいこともはっきり言って、チームを引き締めていた印象もあります。彼女でなければこの三年間はなかった、とはっきり言える存在でした。何より、代表だけでなく所属チームも二年連続リーグ&皇后杯優勝、と強豪チームに引き上げたのもすごかったなと。凄味を感じさせる選手になってましたし、キャプテンという肩書がご本人の才能をさらに引き出したと思います。

と、簡単に書きましたが、誰にでもできることじゃないんですよね。キャプテンという肩書はめちゃくちゃ重く、押しつぶされる選手もいるでしょうから。でも、その重さを自らの力に変えられる選手もいる。それが古賀紗理那選手でしたし、その生きざまをこの眞鍋ジャパンで見させていただいた思いでした。

「アントラージュ」などメディアネタの提供

眞鍋さんのメディア戦略はうまいなと思います。まず、自分が前に出ることが多いなと。それは別にしゃしゃり出るというより、そうすることで選手を守る意味合いが強かったのでは。批判の矛先を選手ではなく自分に向けさせようとしている、そう思ってました。ましてや今はSNSによるネットリンチ全盛ですから。過度に注目を集めさせるのではなく、分散させることは意識していた印象です。

その注目の分散という点では、なんといってもアントラージュですね。ロンドン五輪のメンバーをアントラージュとして、練習参加など代表メンバーをサポートしてましたが、OGの練習参加などは今までも普通にあるでしょうが、それをアントラージュとして組織化したことが眞鍋さんらしいんですよね。

バレー女子代表の再建を担う「アントラージュ」 先輩指導、あこがれを力に(1/2ページ)
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アントラージュって言葉自体定番ではないから(皆さん、意味覚えてます?)、人の関心も引きやすくメディアにとってもありがたいですし、木村沙織さんが練習参加するだけで記事にできますからね。メディアへのネタの与え方は絶妙でした。

ネタの与え方という点では、石川真佑選手を兄の石川祐希選手と共演する機会を増やしたのも眞鍋さんですし(「眞鍋の兵法」より)、あとこれは偶然ですが、小林エンジェリーナ優姫選手の代表選出は、WBCのタイミングもあってバレーボール女子界のヌートバー選手、みたいな取り上げられ方にもなりましたからね。

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ネタという点では「マッハ」と「ジェット」もそうでした(わからない人はこちらをご参考に)。

女子バレー日本代表の秘策「マッハとジェット」 世界の高さを打ち破る術となるか【パリ五輪予選・W杯バレー】|FNNプライムオンライン
いよいよ開幕を迎えるFIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023(東京・国立代々木競技場 第一体育館)。9月16日から先陣を切る女子日本代表が、パリオリンピックへの切符を掴むには、プールB・8カ国の中で2位以内に入る事が条件となる。世界の強豪が参加したこの夏のネーションズリーグでは目標としたベスト4には届かずベス...

これについては「そんなバレーボール用語はない」という有識者の批判を多く目にしましたけれど、じゃあ専門用語で解説すればいいのか?と。テレビで見る多くの人に興味を持ってもらったり、プレーに注目してもらうためのただのメディア向けのキャッチコピー(中継では短時間のプレーですからシンプルな言葉が必要)であって、そんな批判は私にとってはどうでもいい話。ご自身で使わなければいいだけの話では?または、代わりとなるいい言葉をぜひ!考えてください。

さて、選手選考にも眞鍋さんの考えの一端が垣間見られました。