パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その2~問われる軌道修正~

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

1ポイント取りたかったポーランド戦

1-3で敗れたポーランド戦。第一セットを25-20で取り、第二セット以降も22-25、23-25、26-28と3点差以内だったことを考えると、もう一セット取ってフルに持ち込みたかったところでした。五輪前の世界ランキングで4位のポーランドは、7位の日本にとっては2位のブラジルよりはランキングも近く、また初戦ということで手探りな相手から優位に試合を運びたかったところです。

なぜ初戦だと手探りなのか。それは、強いチームはピーキングを初戦ではなく決勝トーナメント以降においているというのもあります。こういっては何ですが、イタリアもドミニカに一セット奪われましたし、トルコに至っては勝ったもののオランダにいきなり二セットを先取されています。

日本もVNLの初戦でトルコをフルセットで破ってますので、ワンチャンあるのでは…という展開でしたが、ポーランドは甘くなかった、というところですね。その技術的な分析は私は知識がないのでできないのですが、ただ、第二セット以降ポーランドが調子を取り戻してきたのと、日本側がネットタッチ等のミスで慌ててしまった、というのは間違いなくありました。それがなかったら勝てた、という単純な話ではないですが、らしくないというか、どうしちゃったんだろう、というところですね。ありきたりな言葉を使えば、五輪の空気に飲まれた、でしょうか。

とはいえ次のブラジルはこれまで何度も対戦して、接戦を演じてきた相手なのでフルセットに持ち込むことはできるのでは…ここで1ポイント取れるのでは…と思ったのは事実です。

ただ。私の中で誤算だったのは、オランダがトルコ相手に1ポイント取ってしまったこと。決勝トーナメント進出の最後の一枠をドミニカとオランダと争うと思っていて、トルコ、イタリアと同組の両チームが最終戦の直接対決を前に、二試合とも0-3か1-3で敗れることを想定していたので、日本としてはブラジル相手に1ポイント取らないとキツイ展開になったのは、チームは知りませんが少なくとも私にとっては誤算でした。

ノーチャンだったブラジル戦

20-25、17-25、18-25…20点を取ったのは第一セットだけ。完敗でした。

試合後に、たまたまテレビで見たと思しき方も交えいろんな論争が巻き起こってましたが(男子の小野寺選手への中傷もそうですが、代表戦は誰かを叩くこと前提の人だったり、いろんな人が見ますからね)、私から言わせると選手起用云々以前の試合でした。あそこであの選手を使っていればとかもはやそういうレベルの試合ではなく、敗因はたった一つで、弱かったから、です。

画面越しに見ていて思ったのは、五輪のブラジルは過去に見たOQTとはまた違う本気モードといいますか、五輪という大会は彼女たちにとってより特別なんだ、ということを何より痛感させられました。これまで見てきたブラジルと、全然違ったなと。その中で印象に残ったのはアナ・クリスティーナ選手です。

ブラジルのアタッカーと言えばガビ選手でしたが、この試合においてはアナ・クリスティーナ選手だったなというくらい。生で見たOQTのときとか、こんな選手だったっけ?と。ガビ選手を安定感のある古賀選手に例えれば、彼女は若さゆえの爆発力がある石川選手というところでしょうか。実際、20歳ですから、石川選手のその頃を思うと爆発力という点では重ね合わせて見てました。

あと、この試合に出ていたロザマリア選手は、昨シーズンはデンソーエアリービーズに所属していたので、動きをはじめ日本人ブロッカーの特徴を理解していたのでは…と。まあ実際対戦していたのは代表メンバーでは山田選手だけなので思い過ごしでしょうけれど、でも、そういうのも含めてブラジルがこの日本戦に総力で挑んできたという凄味は感じました。

ケニア戦は勝った試合ですし、はっきり言って格下ですのでここでは触れません。ただ、第二期眞鍋ジャパンとして、そして何よりキャプテン・古賀紗理那選手としてのチーム最終戦が白星で終わった、というのはよかったと思います。

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ですが、二大会続けての予選敗退、しかも勝ったのは両大会ともケニアだけ…というのも事実。その事実を私なりに考察します。そして何度も言いますが、今年のVNLはほとんど見ていない中で書いている薄い考察なので、物を申すとかそんな思いは全くないです。