暗闇|絶望|ブクガ|断絶|希望

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第四章「新木場の夜、白と、黒」

僕がブクガを聞いていて一つの特徴だと思ったのは、彼女たちは何にも与えないということ。

普通、音楽を聞くときやライブを見るときって、元気や希望を求めたり、特にアイドルグループだとさらに屈託のない明るさや、励ましなどをもらおうとするけれど、彼女たちはその、何かをくれる「希望」からは断絶された存在だと思う。

なんでそう思うかというと、これは間違いなく彼女たちの代表曲だと思うんだけれど「rooms」という曲にそれが詰まっていると思う。

そう、最初に書いた「突然真っ暗になる曲」だ。

しかもこの曲はアップテンポなんだけれど、僕が暗闇の中抱こうとする希望をことごとく打ち砕いてくれるのだ。

「安心していいよ全部なくなるの」

「新しい場所とか連れ去ったから」

引用元:Maison book girl「rooms」

暗闇の中、なんとか再起を図ろうと希望を抱こうとしたけれど「あー、そういうのもう全部消したから大丈夫だよ」みたいな。完全に突き放す、いや、突き落とす曲だ。しかも照明も消える。

その消し方も、スイッチを押して消すというよりは、コンセント、いや、ブレーカーごと落としました、みたいに思える。断絶。

そして最近僕のお気に入りの曲の「cloudy irony」だと

サビでいきなりメンバーから蹴りが入る。これは打破という意味での蹴りとも言えるんだけれど、僕はこれも彼女たちの断絶だ、と僕は思う。簡単に言うと憂鬱な日常からの断絶だ。

あと「faithlessness」は「裏切られて裏切られて裏切られて裏切るの」とか、ものすごく怖い歌詞だ。さんざん裏切られたけれど最後はこっちが裏切るからね、みたいな。僕にはこれも断絶に聞こえる。最後の最後、君を奈落の底に突き落とすからね。

彼女たちはどこか、寄り添おうとする人に対してそこから距離を置こうとする世界があるのではと思っている。アイドルグループのライブだとよくある、コールやmixなどからも彼女たちは断絶している(やろうとすればできなくもないし、やっている人もいるけれど、それは多数派にはならない)。

2018年10月13日。

僕は新木場に向かった。1年半いた札幌から10月に僕は東京に戻ってきた。実は9月末に、あれほどまで望んだ札幌でのライブ出演があったのだけれど、僕は当日まさに東京への引っ越しのまっただ中で行くことができなかった。でも、それでよかったのではと思った。僕が見たいブクガは、狭いライブ会場ではない。

どっぷりと日が暮れた道を歩き、STUDIO COASTに着く。既にライブの残りは大森靖子とブクガだけで、どこか手持ち無沙汰なスタッフからこの日のお目当てを聞かれて、ブクガと答えると彼は二つしか残っていなかった回収袋の一つに僕の半券を入れた。僕はもしかしたらこの日、一番最後に会場に入った有料入場者かもしれない。もはや開けるドアすらなく、会場に入る。そして僕はブクガを見るベストポジションに行ってみた。