パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その1~VNL準優勝の輝き~

日本代表
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2024年:トルコ、ブラジルを撃破し世界二位に上り詰めたVNL

繰り返しになりますが、このVNLを私はほとんど見ていません。なので語る資格はないので、あくまで概要として整理しているだけ、です。

■選手構成

セッター 岩崎 関

ミドルブロッカー 渡邊 山田 宮部藍 荒木

アウトサイドヒッター 林 古賀 石川 井上 黒後 和田

リベロ 福留 小島
※ファイナル・イタリア戦の登録メンバー

荒木選手は2023年のVNLで活躍したもののケガで離脱して、待望の復帰という形でした。やはりあのブロックは魅力ですからね。そして、このタイミングでセッターに岩崎選手を5年ぶりに代表招集しています。

ベテラン、しかも海外移籍もしているなどその経験と落ち着きを…という意図もあるでしょうし(セッターには何より必要なもの)、サーブ効果率の高さ(11.0は2023/24シーズンで6位。セッターで一位)もあったでしょうが、一番は関・松井両選手にはない高さ、ではないでしょうか。もちろんそれによってトスの質も変わります。

このタイミングでセッターを変えるというのは一種の賭けだったと思います。とはいえ、前年のOQTでトルコ、ブラジル相手に善戦したとはいえ勝てなかった。勝つためには今のままではいけない。そんな思いもあったのかもしれません。

■あらすじ

パリ五輪出場権獲得のためには、VNLのリーグ戦第三ラウンド終了時点で世界ランキング11位以内に食い込むこと(注:出場国は12ですが、開催国のフランスが12位以内に入っていないため)が条件ですが、ランキングが低いと組み合わせ抽選でPOT4に入り、強豪国との対戦が増えるため(逆に言えば高いと有利になる)少しでもランキングを上げるということも目標でした。

それもあって、スタートダッシュをかけるという点では初戦のトルコに勝ったのはめちゃくちゃ大きかったですね。間違いなくこの試合にピークをもっていくよう調整していたでしょう。何より開催地はトルコと、完全アウェーの中での試合での勝利は何より貴重な経験になったはずです。

そしてその後のリーグ戦も確実に勝ち星を重ね、第三ラウンドの北九州で無事パリ五輪出場権を獲得…。でも、これにとどまらず決勝トーナメントでは中国、ブラジルを破って初の決勝に進出。イタリアに敗れたものの準優勝という、現行形式のVNLでは最上位に輝きました。VNLはあくまでリーグ戦なので世界選手権や五輪と一概に比較はできませんが、とはいえ世界二位、というのはこれまでにない戦績だったわけです(二位以上はそれこそ1970年代前後以来)。

パリ五輪まで一か月、という中で代表は間違いなく最強の状態だったと言えるでしょう。

 

ここまでパリ五輪に至る過程を振り返りましたが、こう見るとパリ五輪に向けたプランは、基本的には順調に進捗していたのでは。これは後述しますが、メディア戦略や紅白戦の活用など、一般の方の関心やファンの期待をうまく高めていたと思いますしね。というのも眞鍋さんは、東京五輪での予選ラウンド敗退を見て、パリ五輪出場を逃すようではバレーボール女子はさらに衰退するという強い危機感を抱いての就任でしたからね(東京五輪は開催国だったので五輪予選は出てないので)。

では、いよいよパリ五輪の話です。