パリ五輪 眞鍋ジャパンの実感 その1~VNL準優勝の輝き~

日本代表
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

2022年:ブラジルに勝ち、ブラジルに屈した世界選手権

■選手構成

セッター 籾井 

ミドルブロッカー 島村 山田 横田 宮部藍(OHとの二重登録)

アウトサイドヒッター 古賀 石川 井上 林 宮部愛 佐藤

リベロ 内瀬戸 福留
※敬称略。並びは背番号順。赤字は前回からの変更点(以下同)ここでは東京五輪との変更点(ただし東京五輪は12名)

メンバーも引退した選手がいたこともあって大きく変わりましたが、一新したというわけではなく、東京五輪の継承もある程度は考えられていたと思います。とはいえ、日本人選手得点記録保持者だった井上愛里沙選手や、関菜々巳選手の選出に眞鍋色は出ていたと思いますし(内瀬戸選手のリベロ起用もある意味そうでしたが…)、何よりアメリカの大学にいた宮部藍梨選手という秘密兵器、そして妹の宮部愛芽世・佐藤淑乃両選手という大学生コンビもあって、フレッシュな印象も抱かせたことで、ファンの期待も高まったかなと思います。

■あらすじ

VNLで決勝トーナメント進出も果たし、チームとして一定の成果が出ていた中、ベスト8入りを掲げた世界選手権。一年前の東京五輪からの再出発、という点では現実的な目標設定だったなと思います。立て直しのメドをつけるための大会、だったかな。そして実際に予選ラウンドではあのブラジルを破ったこともあり、ベスト8に進出しました。

その準々決勝の相手はまたもブラジルで、フルセットにもつれ込む展開で惜しくも敗れましたが、ブラジル相手にここまで戦えた、というのは間違いなくチームとして自信になったと思いますし、目標をクリアできたことでファンの間でもポジティブな雰囲気になったと思います。

2023年:ブラジル相手に一歩も引かなかったパリ五輪世界予選(OQT)

■選手構成

セッター 関 松井

ミドルブロッカー 渡邊 山田 宮部藍 入澤

アウトサイドヒッター 林 古賀 石川 井上 田中 和田

リベロ 福留 西村

それなりに選手が入れ替わっていますが、一番のカギは和田選手ではないでしょうか。昨年はいなかった火力のあるライト、そして強烈なサーブというオプションが加わったわけですし。さらに二枚替えも機能するようになりました。

■あらすじ

前年に続きVNLで決勝トーナメントに進出した中で迎えた、パリ五輪進出をかけた世界予選(OQT。日本ではワールドカップとも呼ばれました)。ここでグループの上位二位以内に入り、パリ五輪出場権を獲得することが目標でした。

というのも、強豪国ではない日本が五輪でメダルを取るには、一年前に出場を確定させて後は準備期間として対策に充てたい、というところ。しかも川合会長など協会側の尽力もあり、日本開催というアドバンテージもありましたからなおさら。とはいえ同組はトルコと、ここでもブラジルがいる中、どちらかに勝つ必要がありました。しかもトルコは対戦時は世界ランク一位に上昇していましたし、ハードルは高かったわけです。

トルコ戦は一セットは奪い、第三セットもデュースに持ち込むなどそれなりに戦えたのですが、結果は1-3。翌日のブラジル戦は昨年の世界選手権に続いてフルセットにもつれ込む接戦になりましたが、惜しくも敗れて、パリ五輪出場権獲得は翌年に持ち越しとなってしまいました。

確かに残念ではありましたが、トルコとブラジル相手に二位に食い込むというのは難しいだろうというのはファンの方々も思っていたと思いますし、ある意味想定内だったと言えると思います(つまり期待値が下がったわけではない)。

何より、これまでの強豪国との対戦は、相手はピークを決勝に持ってきているので予選ラウンドなどで当たってもガチモードとは言い難い場合が多い中(VNLだと、欧州リーグの選手の合流は決勝ラウンドから、なんてことも多いのでなおさら)、今回はパリ五輪出場権がかかっていたので、勝てば出場が決まる日本戦はガチモードで来ていました。そんなガチモードのトルコ、ブラジルと日本で対戦できたことは何より大きく、さらにブラジルとはフルセットの熱戦になっただけに、ファンにより代表への期待を抱かせたのではないでしょうか。

こうしていよいよ勝負の2024年に突入します。