風の谷の東レアローズ第二章

東レアローズ滋賀
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「今シーズンは東レの誰を追いかけるんですか?」

都内のあるタイ料理店で行われたVリーグ女子会。私も一度はやりたいと言って楽しみみんにしていたのだが、会も盛り上がっていたときに参加者からそう尋ねられた。

※ちなみにVリーグ女子会といっても「Vリーグ女子」会であって、集まっていたのは全員男性だ。念のため。

私が東レアローズファンと知って当然の質問だったが、私は言葉に窮してしまった。

Vリーグを見るようになったのは2015年W杯で興味を持った2015年10月の開幕戦から。やがて2016年3月のファイナル3で私は東レアローズというチームを応援することに決めた。そのあたりのことは前のブログに書いている。

2017年2月のファイナル6岡山大会を最後に私は札幌に移住。Vリーグはすっかり遠い存在になってしまった。とはいえ、東レアローズファンとしては、木村沙織さんがいなくなった東レアローズこそ応援したい、と、11月の滋賀大会は行くつもりだったのだが、仕事の都合で前日に泣く泣くキャンセルせざるを得なくなってしまった。

Vリーグ自体も2018年1月に旅行した九州で大分大会を一日見られただけ。しかもそこには東レはいなくて、つまり1年半以上の空白期間があった。その頃の東レアローズで唯一興味を持っていた中川有美選手(私の中で勝手にVリーグの前田敦子と呼んでいた)も、移籍公示リストに載ったまま所属先が未だに決まっていないという異常事態で(これは異常事態だと私は思う。東レアローズのレギュラーを張っていた選手がどこにも移籍できないなんて)、私はすっかり東レアローズに疎くなっていた。とてもファンとは呼べないような状態だった。

「木村沙織さんの残した空気を追いかけます」

私はそう答えるしかなかった。木村沙織さんの残した空気。

私はVリーグにハマって3年なので、木村沙織さんがいた東レアローズを1年しかしらない。だから、さっきの「風の谷の東レアローズ」で書いたような東レに流れる空気、というのが木村沙織さんが作ったものなのか、元々東レ(というより滋賀の谷)に流れていた空気だったのか、はわからない。ただ間違いなく木村沙織さんも長いこと吸っていた空気が、今の東レアローズにも流れているはずだ。それを追いかけよう、というのは元々思っていたことだった。

あの空気を吸う、新たな住人が出てくるはずだ。