「選手・古賀紗理那」を支えた三人、そして家

NECレッドロケッツ川崎
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「赤ロケイズム」を注入した先輩

リオ五輪の代表落選で、チームに戻った彼女。そのエピソードは上述のNumberの記事にも少し記載があるが、帰った場所(チーム)がNECだった、のが彼女にとっては何より大きかったのではないか。しかも当時NECはアジア選手権があり、すぐに試合モードに入れたのもよかったのではと思う。

そんなチームで、何より彼女に目をかけていた───あくまでファインダー越しの個人的な印象に過ぎないが───のが、近江あかり選手である。

私は2016年から手元にあるカメラでバレーボール観戦を楽しむようになったけれど(なのでこの頃の写真のクオリティはめちゃくちゃ低い)、この二人の絆はファインダー越しに何度も感じるものがあった。勝手な想像ではあるが自分の後継者として、チームを受け継ぐ選手として接していたのでは…

傷心でNECレッドロケッツに戻ったが、近江あかり選手をはじめとした選手たちが「おかえり」と出迎え、代表はいったん忘れてまずはNECの古賀紗理那、と言われるくらいの絶対的な選手になろうとし、それを近江選手をはじめとした選手たちがサポートした…。特に近江選手は経験とか、自分の持っているものすべてを、後継者として彼女に注入しようとした…

これが私の勝手なストーリーである。ただ、この2016/17シーズンのNECは好調でレギュラーラウンドを一位通過して、そのまま2シーズンぶりに優勝するのだが、それは彼女の成長と同期していたと言ってもいいのではと思う。挫折からの巻き返し。そんな彼女の思いにチームも引っ張られていった、といっても過言ではないだろう。

2016/17のファイナルで、優勝した瞬間二人は泣き崩れていた。私の中では、近江あかりのNECから、古賀紗理那のNECに変わった瞬間だった。そして実際にそう思ったのかはわからないけれど、もう彼女は大丈夫だろう、と近江選手はそのシーズンで引退した。
※そんな当時の考えを下記に書いている。

代表落ちから始まった2016/17シーズンは、チームの優勝で幕を閉じた。挫折から一転しての栄光。そんなシーズンの彼女の力になったのは木村沙織さんと近江あかりさんであり、それがその後に至る古賀紗理那という選手の骨格を作っていったのではないか…それが私の考えだ。この二人のハイブリッドが古賀紗理那選手。あながち間違っていないと思う。

代表にも復帰して主力として迎えた東京五輪。そこで彼女は再び挫折を味わうのだが、そこでかけられた言葉が、彼女を最終章へと向かわせた。