なぜ「世界最高峰」なのか。大河新チェアマンが明かしたSVリーグという一大改革

Vリーグトーク
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

SVに必要なスポークスマン

個人的に、大河氏のXでの発信はどうもうまくないというか、改革をぶち上げるあまり既存のファンを逆なでする投稿も多い印象がありました。ただ、前述の「異端のチェアマン」を読んだり経歴を知ってつくづく感じたのですが、バンカーにスポークスマンを求めてもダメだなと。これで思い浮かべたのが昨年、前の日銀総裁が「家計が値上げを受け入れている」と発言して反発を受けたことです。

この場合の家計は経済学における「各世帯で行われている経済活動(収入・支出・投資・貯蓄)を行う主体」を指すもの。賃金が上がるためには値上がりするのもしかたない(安いままでは上がらない)、という考えが浸透してきたので、今のうちに賃金のベースアップにつなげていこう、という意味での発言だったのに、彼の言った家計は家計簿、つまり自分の財布の意味で報道されてしまい、「値上げが続いてフトコロが淋しくなっている状況を受け入れているだなんてとんでもない!」となってしまったわけです。

まあこれはマスコミの切り取り方にも問題があったのですが、日銀総裁に庶民感覚を求める方に無理があるでしょう。何が言いたいかと言うと、ファンに対する窓口は別にスポークスマン的な人を置いて任せた方がいいと思うんですね。大河氏が外を見る代わりに、中を見る人。彼に全てを負わせるのは、いかに京大卒のエリートであっても酷です(笑)。

その点では、國分前チェアマンはうってつけなのでは…と思うんです。SNSを使いこなせるかどうかはわかりませんが、会場には毎週のように頻繁に足を運ばれてましたし、ご自身も競技経験者ですから、運営部分に目を向けていろいろ取り組んでくださりそうな気がします。他にも大林素子さんだって、Vリーグの各種会見の司会を務めているだけではもったいない気はしますし、OB・OGに人材は沢山いると思います。

てか、そもそもチェアマン自らSNSをやってくださっているのはありがたいんですよね。前の前の会長では考えられなかったことですし(苦笑)。

 

長々と書きましたが、最後に。

私も最初はアンチ大河だったんですよね。Vリーグを否定する発言が多く、一方で既に離れているのにBリーグを持ち上げることが多くて、とてもバイスチェアマンのやることじゃないだろ、と。Vリーグをぶっ壊しに来た人という印象があり、プロ化を推進して実業団を排除していくのかなと思っていたんですね(過去、Vリーグ女子ゼミの改善提案を送った際の手紙で、直接意見を申し上げたこともあります)。

ところが2023年12月に発表されたライセンス構想では、排除ではなく受容だったのでホッとしたんです。しかも売上6億は27/28シーズン以降、ホームアリーナ5000人以上は30/31シーズン以降、等々移行期間も長めにとっている。バレーボール界の現状を見て、上手い落としどころを付けてくださったなと思いました。それで印象が変わりましたね。

とはいえ、過去に「応援文化がない」と言われてカチンと来たことがあります。

まあ、現地に見に来ていないのは事実だと思いますが(当時は大学の学長も兼務でしたし)、このとき彼が言いたかったのは、試合における応援の文化ではなく、例えば最寄駅からフラッグが並んでいるとか、ポスターが至る所に貼られているとか、そういう町ぐるみの盛り上がりによって満員になることでもたらされるアリーナの雰囲気、というもっと大きな応援文化のことなんだなと、その後の投稿を見ていて思いました。

今にして思えば、前述の東京グレートベアーズの、8000人入った有明コロシアムのホームゲームを目の当たりにしたのが大きかったかな。スパシやアリーナだけでなく、二階、三階も埋めていく。上階に座る人ほど新規層なので、そういう人たちにも楽しんでもらって「また来よう」「次はもっと近くで見よう」と思ってもらう。SVリーグが目指すのはこういう姿だなというのを痛感したんですね。

先日行われたサマーリーグでもさまざまな不満が上がってましたし、古賀選手といういわばSVの目玉となるべき選手が引退したこともあって「SV大丈夫か?」なんて声も目にしますが、一つ申し上げたいのは、今までの延長線上で考えてはいけないと思います。2024/25シーズンはもはや今までのVリーグではないのですから。掲げているのが「REBORN」なのですから、ファンも考え方をREBORNする必要もあるのではないでしょうか。

債務超過に陥っているということは、Vリーグ自体がなくなってしまうかもしれない。それを立て直しかつ世界最高峰にしようとしていることに対しては、一緒に盛り上げることはできないかもしれませんが、支持していきませんか?

でも。日程はそろそろ発表してください…(笑)