なぜ「世界最高峰」なのか。大河新チェアマンが明かしたSVリーグという一大改革

Vリーグトーク
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世界最高峰のリーグを目指すわけ

大河氏に続いてはラグビー・リーグワンの玉塚氏が同様に10分間の講演を行いました。その後二人によるトークセッションに進みましたが、その中でこんな話が大河氏から出ました。

大河チェアマン
大河チェアマン

SVリーグとリーグワンには、世界でイニシアティブが取れる可能性のあるリーグという共通点がある。

だからSVを世界最高峰のリーグにしたいし、できる。MLBやNBAのように、人・モノ・カネが集まるリーグが世界最高峰のリーグ。それはつまり、世界から放映権料を集めるビジネス

NPB(プロ野球)ではアメリカのMLBに、Bリーグは同NBAに対し、それぞれ大きな差があるが、実はラグビーのリーグはイングランドやフランス、オーストラリア、アメリカくらいしかないそうです。確かにバレーボールも女子はトルコやイタリアリーグは盛り上がっていますが、とはいえMLBやNBAのように突出しているかと言ったら、金額は比較していないですけれど多分そうではないですよね。その点は大きなアドバンテージですし、十分狙えるのでは…と聞いていて思いました。

そして放映権という点ではその後に出たこの話が、個人的に衝撃でした。

大河チェアマン
大河チェアマン

Vリーグは実業団の福利厚生から派生しているので、コストセンターだった。

コロナ禍で、プロ野球やJリーグがいち早く無観客試合で再開して少しでも試合数を減らさなかったのは、DAZNの放映権料の減額を避けるためだったが、Vリーグだとコストセンターなので、試合を減らす発想になってしまった。

確かに2020年、プロ野球は本来143試合のところ、交流戦などなくなったものの120試合と、3ヶ月近く遅れた6月の開幕にしてはかなりの試合数を確保していますし、Jリーグのリーグ戦も前シーズンと同数です。

Vリーグは10月開幕と、スポーツ界の新型コロナウイルスの一連の対応を見た後での開始となったのは幸いでしたし、五輪がずれたためにリーグ戦短縮&VCup方式になったので試合数が減ったわけではないですが、確かに「無理してやることはない」という発想になることは致し方なかったのかなと思います。

さらに、SVリーグを活性化していくためにこんなことをおっしゃってました。

大河チェアマン
大河チェアマン

支える親会社から、投資する親会社にしていきたい。実際BリーグはM&Aが増えたのでSVもそうしたいし、それで初めて活性化したと言えるので、そういうところが出てきてもいい。

続いて例に出したのはNPBで、楽天、ソフトバンク、DeNAが参入して、親会社の宣伝費頼みだったコストセンターのビジネスモデルを黒字化していったのと同じだ、と。確かに2004年の球界再編は、球団運営が赤字の近鉄がオリックスへの譲渡(合併)を決めたことに端を発し、同様に経営難のチームが多い中でさらにチームを減らして一リーグにする、という流れがあったのですが、そこから各チームが経営努力をして黒字化していったし、結果的にプロ野球全体が盛り上がっていったという経緯があります。

私自身もよく野球を見に行きますが、昔は当日にフラッと自由席券を買ってガラガラのスタンドでのんびり見ていたのですが、そんなことはできなくなるくらい、今は多くのお客さんでにぎわっています。

またBリーグは東芝からDeNAに替わった川崎ブレイブサンダースやミクシィが買収した千葉ジェッツ、マイネットが買収した滋賀レイクスなどM&Aの事例がたくさんあるんですね。しかも川崎と千葉はアリーナ建設まで手掛けてますし、活性化どころの話ではないです(Japan Sports Weekではこの二チームも参加して「Bリーグの次世代アリーナ戦略」というカンファレンスもありました)。

おっしゃりたいことはそういうことなんだなと思いました。その点では東京グレートベアーズが何よりの好例ですよね。1500人収容の墨田区総合体育館でホームゲームを開催していたチームが、1万人の有明コロシアムですからね。私も両方のホームゲームを見ましたけれど、雲泥の差でしたから。

最後にリーグの持つ役割として、スポーツの力を認知させ社会的価値を高めていきたいと。そのためには全国津々浦々で毎日悲喜こもごもの日々、になれるように、と締めくくってカンファレンスは終わりました。
※これ以外にもリーグと協会の関係性の話もありましたが、焦点がぼやけるのでここでは割愛します。

続いて、一連のカンファレンスの私なりのまとめです。