東レアローズ滋賀「多様性」への一大転換

東レアローズ滋賀
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未来のアロじょを育成する「U15」設立

他チームでは立ち上げているところも多かったいわゆるジュニアチームを、東レでもようやく立ち上げました。何のことはない、2024/25からのSVライセンスの必須項目だからです(U18も2027/28から必須)。

東レアローズ滋賀のHPからの埋め込みです

ちなみにジュニアチームを持つのはバレーボールの普及や地域貢献という側面もありますが、施設の活用だったりOG選手の活用(東レの場合、OGの芝田安希さんが指導者に)、そして何よりスクール代というライセンスで定められた年間売上6億確保のための売上増、という意味合いもあります。

社業もしているチームは別ですが、選手の練習は日中のため夜は基本的に施設は空きます。実業団だとその時間は、事業場で働く社員の終業後のレクリエーションの場として使うケースも多いのですが(NECの玉川アリーナにバスケのゴールがあるのはそのため)、東レはおそらくですが従業員には開放していないようなので(バスケのゴールがないから)、スクールにフル活用できるのではと思います。実際スクールの時間は学生の放課後となる月木の18:30~20:30、そして土の14~16:30ですからね。

ちなみに入学金・月謝5000円は週三という回数の多さも合わせ、他チームと比べかなりの破格です(事業センスを疑ってしまうほど 笑)。

最近、部活動ができる学校が減ってきているんですよね。教員不足もありますし、ちゃんとその競技を指導できる先生もなかなかいない。となったとき、ジュニアチームはその受け皿になるわけで、ものすごく大事なことです。遅ればせながらではありますし、SVリーグのライセンスに定められたから、という理由はあるにしても、競技拡大と地域への貢献、そして新たな収益源という点でジュニアチームを立ち上げたのはものすごく大きいと思います。

そして。私の中では、「育成の東レアローズ」なんですよね。確かに黒後選手や石川選手は元々がすごかったから育てたようには見えないかもしれませんが、東レに入ったからあれだけの選手になったとはいえると思いますし、関選手だって小川選手だって、東レの育成メソッドで育ったと私は思います(買いかぶりとは思いません)。

少し前だと、強豪校出身ではなく春高にも出ていない迫田さおり選手がいい例ではないでしょうか(ご本人の努力ももちろんありますが)。

春高バレーがどんな大会かも分からず… 迫田さおり、異端のバレーボール人生
2012年ロンドン五輪の銅メダリストであり、2016年リオデジャネイロ五輪にも出場した女子バレーボールの元日本代表・迫田さおりさん。日本の第一線を走りながら、高校時代は現在開催中の「春高バレー」の出場経験はなく、決して、ずっと輝かしいキャリアを歩んできたわけではない。バレーボールを始めた小学生から2017年に現役を引退...

だから、今シーズンの新人選手二名と、新加入の若い選手たちがどう東レメソッドで育成されて伸びていくのか、がとても楽しみです。一言申し上げますが、大卒&移籍加入が増えたことで「東レは育成を放棄した」と思っているのであれば、それは大きな勘違いです

その点で新体制で何より大事なことは

戻ってきた中道コーチ

これに尽きます。昨シーズン退団されたので、東レから離れてしまうのではと危惧したのですが(引く手あまたでしょうし)、彼女は絶対に手放してはいけない人材ですし、東レの宝といっても過言ではないです。

最後になりましたがアロともの皆さま、今シーズンも宜しくお願いいたします。新加入選手の発表がなかったり、「大丈夫?」「補強はまだ?(笑)」という言葉だったり、サマー不出場など、モヤモヤする日々も終わり、ようやく新シーズンに目を向けられるようになって、皆さんと盛り上がれるようになったのが何よりうれしいですね。