東レアローズ滋賀「多様性」への一大転換

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

「多様性」というチーム全体のキーワード

新加入選手の陰に隠れましたが、個人的に注目したのはコーチ陣です。というのも、昨シーズンまでNECレッドロケッツにいた岡本陽コーチ、そしてかつてトヨタ車体クインシーズにいた林謙人コーチという外部からの加入、がありました。

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実は東レってコーチは男子からの加入だったり、内部の人材で基本的にずっと回していたんですね。本当は昨シーズンはJTマーヴェラスから伊藤翔矢コーチが加入したのですが、開幕直前で退団になったので実質的に外部コーチは今シーズンが初…かはわかりませんが、久しぶりということは間違いないです。

新加入選手は高卒を中心に2名くらい、他チームからの移籍加入もない、コーチは自社内で回す…。それが東レアローズというチームカラーを作ったのは間違いないですし、小さな村みたいなほのぼのとした印象があったのですが、それと引き換えに外部の考えなどを取り入れない閉鎖性もあったのは事実です。島国といえばわかりやすいかな。

だから一言で言えば、今シーズンの東レアローズのキーワードは多様性です。実は日本人選手の移籍加入も昨シーズン以前は2017/18シーズンの井上奈々朱選手までさかのぼりますし。しかも昨シーズンは戸部・吉野両選手の2名でしたが今シーズンはなんと6名ですからね。今が14名ですから、戸部選手+6名と、実に半分が移籍加入選手ということになります。

新人から一貫してアロじょ、の選手もいいですが、移籍加入選手がアロじょになっていく過程を見るのも楽しいと昨シーズン思いました(正直、ならなかった選手もいましたが…)し、今シーズンもそこが楽しみです。

私自身高校バレーには詳しくないし、主に2018/19シーズンから見ているのでそれ以前のことはわかりませんが、極端に言えば「下北沢成徳アローズ」と言いますか(笑)、要は高校の雰囲気が色濃く残っているチームという印象でした。いい意味で大人にならないチーム、ですね。それが東レアローズというチームカラー、というかDNAだったかな。

今後はその要素はだいぶ減るとは思いますが、DNAだけにそこはちゃんと残るんじゃないかなと。私はそこが好きなので、チームが弱くなろうと変わらず追いかけています。アロとものメンタリティーもそうじゃないかな。

そんな多様性のチームをキャプテンとして引っ張るのは深澤つぐみ選手。個人的には、チームを引っ張り上げるにはエースアタッカーがキャプテンの方がいいと思っていましたし(昨シーズンのトヨタ車体、デンソーがいい例でした)、多様性を一つにまとめるのは何より勝利ですし、つまりはそれに直結する得点源のアタッカー、というのは今シーズンを考えれば非常に適任だと思います。

既に内定していたのか、VCupでも声を出して谷島選手を鼓舞したりその片鱗は見られていたんですよね。なのでとても楽しみですし、これだけ移籍加入が多いシーズン、というのは前例がないので負担は大きいでしょうが、ぜひ頑張ってほしいと思います。

さて。今後は高卒の加入選手が減るかもしれない、下北沢成徳とのパイプも不明だしそもそも今までのような強豪校でい続けるのかどうかも正直不透明(小川監督だから、と入学した選手もいるはず)、という中で東レのバレーボールに合った選手をどう獲得していくのか…

そのカギが、6月1日に発表されたこれです。つらつら書いてきましたが、最後に大事な話です。