東レアローズ滋賀「多様性」への一大転換

東レアローズ滋賀
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新たな獲得ルートの発掘

東レといえば、古くは木村沙織選手、荒木絵里香選手、最近では黒後愛選手、石川真佑選手と下北沢成徳高校から選手が入団するケースが多かったわけです。

個人的には、下北沢成徳がいわば東レジュニア…は言いすぎですが、東レの指導内容と一貫性があったのではと思います。もっと言うと、代表からの逆算といいますか。今後代表に求められるのはこういう選手で、そのために東レではこういう指導をする、そのために必要な能力や体格は…みたいな一貫性があった気がします。だから黒後選手も石川選手も、Vリーグのデビューはかなり早かったですよね。
※もちろん全員がいきなりデビューしたわけではないですし、どうしても選手によって差はありますが。

そんな下北沢成徳といえば小川良樹監督だったわけですが、2023年に引退。となると今後も選手が東レに来てくれる保証はないのではと思います。監督というより学校とのパイプであり関係ないのかもしれませんが。

ただ、ここ数年は小川愛里奈選手の就実、関菜々巳選手の柏井、水杉玲奈選手や西川吉野選手の金蘭会と、従来他チームとのパイプの強かった高校からも加入があったので、元々成徳依存はだいぶ減っていた印象です。

そして、直近だと2017年の日髙選手にまでさかのぼるほど大卒選手の加入が少なく(2022年に一人いた気がしますが…)、パイプもなかった大学選手は、昨シーズンの内定選手で松岡芽生選手(九州共立)、川副華笑選手(福岡)と二名が加入しました。

まあ、筑波とか東海、嘉悦といった他チームのパイプが強い大学に食い込むのは難しいでしょうが、今回の二人のように、地方の大学にいる隠れた逸材を発掘するというスカウトになるのでは…と思います。これは個人的には八戸学院、富士大学といった地方大学から後の主力選手を発掘してきたプロ野球・埼玉西武のスカウトに通ずるものがあるかなと。それも立派なスカウト戦略ですね(この辺は菅野GMがやっているのかもしれません)。

この獲得方針は、なにも選手に限らなくなった、というのが次の話です。