東レアローズ株式会社設立による「SV仕様」化

東レアローズ滋賀
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チーム名の入った社名の持つ意味

アロともにとっては重要なポイントですが、新会社の所在地は男子の静岡ではなく、女子の滋賀なんですね。おそらくですが、集客状況=チケットの売れ行きを考えれば売上規模は男子の方が多いはずなんです。これは、女子の拠点が東レの創業の地である滋賀事業場にあるからと思います。

まあだからといって女子の方に力を入れる、というわけではないでしょうが、上記の事情で男子がメインになると思っていたので意外ではありました。元々男子の方がチーム創設は53年も早いし、女子は2000年にユニチカから移管された際に男子と同じチーム名にしよう、ということで東レアローズになったのですから。

と、さらっと書きましたがこれが何より重要なことで。まず、同一競技に男女を有しているチームって少ないんです。サッカーは結構多い(JとWE)ですが、バスケは0。まあこれはプロリーグのBと実業団中心のWで分かれているからしかたないのですが。で、VだとJTも男女を有してますが、サンダースとマーヴェラスと、チーム名は異なるんですよね。

東レはスポーツ界全体で見ても、同一リーグに同一の名称のチームが所属しているきわめて稀有なチームなわけです(サッカーの浦和レッズの男女はJとWEリーグと別リーグ所属)。そもそも男女が同一リーグというVリーグ自体が珍しいのですが、そのチーム名をブランドとして活用しない手はないんですね。「東レバレーボール株式会社」とかではなくアローズを社名にしたのはそういうことだと思います。

あと、先ほど資本金でもふれましたが、二チームあるということは単純に売り上げ規模も他チームに比べ倍。そのスケールメリットは大きいです。だからグッズも専門の業者(あのおっ兄さんです 笑)がつくわけで。

つまり、東レアローズというブランドが強くなれば、それは企業価値に直結するということです。企業価値に直結すればより強い企業となるわけで、強い企業になれば選手補強などもより多額の資金を投じることができるわけです。一方でライセンスでは3期連続の赤字を禁止していますから、きちんと利益を出していかないとライセンスが取り消されるリスクもあります。

そして。分社化したということはバレーボールを事業としていくわけですから、スクールにも力を入れたり、もしかしたら久光の新鍋、石井両選手のようにOGも所属してマネジメント企業にもなるかもしれませんね。

そんな東レアローズというブランドを強くしていくのは、選手だけでなく何より私たちアロともです。

ここではSVリーグに向けた東レアローズ株式会社の設立について触れましたが、経営面の話ばかりになりましたので続いては運営面の話をします。