東レアローズ株式会社設立による「SV仕様」化

東レアローズ滋賀
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2024年7月1日、東レアローズ滋賀から新加入選手の発表と共に、今後の東レアローズ滋賀の行方が見えてくる発表がありました。選手編という内的要因は既に書きましたが、ここでは今シーズンから始まるSVリーグにも関わってくると思われるいわば外的要因、について私なりに解説します。

そもそも分社化って?

まずは東レ株式会社からリリースされた「バレーボールクラブ運営のための新会社発足について」と題された下記の発表です。

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今までチームに関するリリースはチームから、でしたが、親会社のニュースリリースに載ったのは、私が知る限り初…と思ったら、バレーボール教室の開催報告など定期的に出ているんですね。ちなみに調べたところ、2018年までは内定選手や外国人選手の加入でリリースを出してました。

それはさておき、大事なのは「東レアローズ株式会社」の設立、つまり分社化です。これを読んでいる方には学生さんなど、分社化がどういうことかわからない人もいると思うので簡単に説明しますと、独立性を高める、というところでしょうか。実家を出て一人暮らしを始める、といえば学生さんでもわかりやすいかもしれません。

私自身もかつて勤めていた会社の部門が分社化になったケースがあります。それまでは大きな会社の一部門だったのですが、だんだんその会社のルールが合わなくなってきたんですね。それもあって分社化されたのですが、今までは決裁も本社に行って説明しなければならなかったのが自社内で済むようになったりとか、業務のスピードが上がるなど効果が大きかったです。

私なりに分社化のメリットとデメリットをまとめると

■メリット
・親会社のルールに縛られなくなる(例えば採用も迅速)
・意思決定がスピードアップする(親会社は大きい分、多くの案件を抱えているから)

■デメリット
・親会社の社員ではなくなる(出向という形でカバーするケースもあり)
・収支が厳しく見られる(同じ100万でも対100億と対1億では大きく異なる)
・分社化で切り離された=本業とのシナジーが発揮できないという判断であり、いずれ売却される可能性がある(私の場合、実際そうなった)

今回に関しては個人的にはメリットの方が多いと思いますし、売却をデメリットとしましたが、私の場合は元々黒字事業ではあったので、よりシナジーの発揮できる会社に買われましたからね。

ちなみにこの分社化、女子では既に久光がやっていますし、同じ7月1日では埼玉上尾も行いました(もっとも母体が一般社団法人なので分社とは言えないですが)。また、分社化ではないですがPFUはPFUライフエージェンシーという関連会社に移管されています。東レは既にチーム業務を関連会社に移していたので(恐らく男子も)、てっきりPFUと同じスキームになると思ったのですが、まさか久光同様、新たにチーム名を冠した専門の会社を立ち上げるとは思いませんでした。それだけ、意気込みを感じますね。

では、埼玉上尾をはじめ、なぜ分社化が相次いでいるのか。それは、SVリーグを始めたとしたVリーグの改革、「REBORN」が関係しています。