「一枚の写真より一回の拍手を」
2018年11月3日の新生Vリーグの開幕戦で繰り返し聞かれたフレーズです。その帰り道も写真を撮るのに夢中な観客を揶揄するようなカップルの会話を耳にしました。
今でこそ毎試合カメラを持ち込む私ですが、元々はカメラ否定派でした。
Vリーグを見るようになったのは、何度も書いていますがたまたまテレビで2015年のW杯を見てから。それでバレーボールに興味を持ち、そういえばVリーグってあるな、と思ってその年の開幕戦に足を運んだのが始まりでした。
少しずつバレーボールにハマるようになっていって、やがて、試合中ずっとレンズを構えて写真を撮っている人たちの存在に気づくように。特にGAORAなどテレビの中継を見ていると、そういう人たちはたいてい最前の席にいるのでよく目につくようになりました。
全く、撮ることばかりに夢中で、せっかくの試合を見てないなんて。
それが彼らに対する最初の印象でした。
オレは(彼らと違って)試合を「見」に来ているんだ。そう思っていたので、メインスタンドのそれなりにいい席に座っていても、スマホでたまに撮ることはあっても、基本的には試合を見ることに徹していました。
ただ、Vリーグへの関心が強まるにつれて、もっといろんな情報なり試合の感想をもっと見たい、できることならファンの方とやりとりしたい…ということでツイッターで試合後にバレーボールファンを探すことが増えるようになりました(特にこれは2016年3月の東レ対久光のファイナル3がそうでした)。
というときによくサーチに引っかかるのが、試合を撮った人による写真だったわけです。その写真によって、こんなシーンがあったんだ、とか、試合後の余韻がより大きくなっていったわけです。
例えば前述のファイナル3。フルセットの末久光に敗れた東レは、試合後に木村沙織さんたちが抱き合っているのが印象的でした。これはそのとき撮った写真なのですが、
これを、このように撮っていた人たちがいたわけです。
あと、私はこの試合で負傷でいったんコートを離れた木村沙織選手が、久光のマッチポイントになったときにとっさに番号札を持って交替をアピールしたように見えたシーンがものすごく印象に残ったのですが、これもこのように撮って下さっている方がいて、ああ、やっぱりそういうことをしていたんだな、と。
写真によって、というより同じ試合が別の、見ている人の視点(撮る人は撮るだけでなく写真を選んでいるのです。いずれも自分のフィルターを通して)によってまた違った印象になる。多角的になる。そんな楽しみ方も知るようになったわけです。ああ、この試合のここを注目していたのか、と。
また、私は試合を見る回数が増えていく中で、この選手のこのプレーが、ということ(魅力)をツイッターやブログで伝えたくなって。例えば佐藤美弥選手のトスワークがリズミカルでいい、とか、迫田さおり選手のバックアタックがかっこいい、とか。でも当然だけれどそれにはスマホだと限界があるわけで。
という二つの思いが、2016/17シーズンに入って私の中でわき起こっていたと今にして思います。