帰り道は新鍋理沙を語りたくなる

久光スプリングス
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

2018年11月3日。東京に戻ってきた私は久しぶりにVリーグがたくさん見られるぞとわくわくしてこの日を迎えた。そして、東レ対久光を迎えるにあたって、東レは小川愛里奈選手を追いつつ、久光ではいつものように石井選手をマークしつつも、新鍋選手にもレンズを向けてみることにした。

ただ、私の中では鉄の女・新鍋理沙。どこかレンズも恐る恐る向けていた。「ふん、撮っているんじゃないわよ」とでも言われそうな。いや、そんなことすら言わずに「また撮っている人がいるんだからもう。しょうがないわね」みたいな。ひえええ、すみません新鍋様。どこかファインダー越しに靴で踏みつけられながら撮っている感覚だった(アホか)。

試合はわが東レが新鍋様に一蹴され(靴で踏みにじられただけに、ってそういう話じゃない)、敗れた。その試合のMVPに選ばれた新鍋様がインタビューを受けていてそれを私は会場の大画面で見ていたのだが(メインスタンド側を向いていたのでこちらからは生の姿は見えなかった)、それこそ「別に」とか言い出しそうな新鍋様だったが、やりとりは拍子抜けするほど普通だった。

最後にインタビュアーが「今年で選手生活10年目を迎えますが」と話を振ると、新鍋様が、持っていたブイリーを使って顔を隠した。10年目と言われて恥ずかしそうに。

キャラ、全然違う!!

私の中の新鍋様…もとい、新鍋理沙選手のイメージが音を立てて崩れていった。

試合を見ていても、新鍋選手を中心に輪ができていたり、当初抱いていたイメージとは違うな…という思いはあったが、その出来事で私は一気に新鍋選手に親近感を抱くようになった。あと、これはファインダー越しに見ていて気づいたのが、あくまで私の中で、女子力がとても高いことに気づいた。コートにいる選手たちの仕草や表情に女子を垣間見られる瞬間が私は好きなのだが、新鍋選手はそれが至る所で見られる選手だと気づいた。例えばこの写真がそうだ(これは試合前なんだけれど)。

私が新鍋選手の写真を投稿すると多くのファボをいただくのだが、たいていは女子が多くて、なるほどなと思った。

次に新鍋選手を見たのは12月2日のウカルちゃんアリーナだった。この試合は新鍋選手ばかり撮っていた。

例えばこのシーンだが、これはベンチの方に飛んでいったレシーブのボールを返したシーンなのだが、

こういう両腕の広げ方が、女子だなあと思う。写真は撮れなかったけれど、スパイクを打とうとサイドラインから走り込むときに、いわばお嬢様走りみたいに手のひらを反らしている選手は個人的にツボだ(木村沙織さんはそうだった)。

でもなにより、この日は久光は公開練習をしていて、新鍋選手の練習風景もレンズで追っていたのだが、

やがて彼女がレシーブ練習を始めた。繰り出されるサーブをひたすら返す、というものだったけれど、それが私は思いっきり印象に残った。