THIS IS HOME~その先を翔ぶ岡山シーガルズ~

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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

⑩スポンサー席の存在

皆さんにとって、Vリーグにおいて一番魅力的な席はどこですか?

人によって好みはあるでしょうが、基本的にはベンチのすぐ側の席だと思います。基本的に価格もそこが一番高いですよね。

岡山シーガルズは、この位置をスポンサー席にしています。下記の座席表で言うと、「北」のA席の下がそれに当たります。つまり、一般販売していないんです。

これによってスポンサーになることで毎試合いい位置で試合が見られることが保証されるわけです。本来、この位置の席はいわゆる「スーパーシート」で、特に写真を撮りたい人などがこぞって買うので8000円など高価格帯で販売できるわけですが、それよりスポンサーを重視しているわけです。高価格帯の席に依存する必要がないというのは岡山の強みなのかなと。まあ、高価格帯の席が常に完売するかといったら難しい部分もありますし、しかも収入も上下します。だったらスポンサー席にした方がいいですよね。年間シートと言えばわかりやすいでしょうか。

ちなみに私は両日とも北のA指定席で見ていましたが、ここに見えるのが全てスポンサー席です。

ちなみにA指定でも全然見やすかったし撮りやすかったです。

そして試合後は、選手たちがスポンサー席にやってきて「ありがとうございました」とちゃんと挨拶しているんですよね。こういうことがあるからスポンサーになってくれるわけです。

たぶんですけれど、ホームゲームが8試合もあることでスポンサー料も値上げできたはずです(試合数が多いわけですからそれだけスポンサーの看板を目にする機会も増えます)。

つまり、ホームゲームが増えることのメリットを100%どころか200%くらい享受できる環境にあるわけです。これはもう、新生Vリーグの理想型ですね。

⑪河本監督兼社長

いろいろ調べても岡山シーガルズの運営母体がどんな会社か、法人格があるのかわからないのですが、実質河本さんが社長と言ってもいい、そんな感じを受けました。試合後にはスポンサー席の人に挨拶していたり。そして何より、試合後の車の贈呈式(貸与だったかな)でのスピーチです。

これは、1/13のKUROBE戦の後にセレモニーとして、岡山トヨペットからアクア(だからKUROBEアクアフェアリーズ戦にセレモニーやったのか!←なわけない)が岡山シーガルズに提供されるというものだったのですが(確かにジップアリーナには前日にはなかったアクアが展示されてました)、河本監督はまず勝てたことにホッとしてました。このようなセレモニーを、負けて迎えるのと勝って迎えるのとは雲泥の差ですから。しかも前日東レにも勝って二連勝。そんなような話をした後で、こんなような話をしたんですね。

市民クラブとして我々は足で稼がなければならない。そのようなときに車があるというのは非常に大きな戦力になります、みたいな。

要は、親会社を持たない岡山シーガルズは、スポンサーがきわめて大きな要素を占めるわけです。となると当然ながら営業活動が必要。頻繁に顔を出したり、足で稼ぐ地道な活動が必要なわけです。

これってもはや監督の言葉じゃなくて経営者の言葉ですね。

ちなみに河本監督は新生Vリーグ構想が出た際にこんなコメントを残しています。

「プロ」か「企業」か。揺れ動くバレーボールのスーパーリーグ構想 (3ページ目)
3月末に行なわれたオールスター戦。今後、Vリーグの改革はどう進んでいくのか 日本バレーボール機構(Vリーグ機構)は5月31日、昨年9月に発表していたスーパーリーグ構想についての会見を行なった。そこで、スタート時期は2018年秋シーズンになる…

独立採算をとるのであれば、ホームゲームを増やし、ローカルなスポンサーを、頭を下げて獲得しなければならない。

引用元:sportiva

新生Vリーグの理想型がまさに岡山シーガルズなんじゃないかなあって思います。全てが岡山シーガルズになる必要はないですけれど、間違いなくモデルケースです。

ちなみに監督が社長的なこともやっている、という点だと元サッカー日本代表監督の岡田武史さんのFC今治のケースを思い浮かべます。岡田さんは今は監督ライセンスも返上して完全に経営者ですけれど、岡山といい今治といい、両方とも瀬戸内にあるというのは興味深いなと。理想型は地方にあるもの、なんですよ。