君の名は日立リヴァーレ第三章

日立Astemoリヴァーレ
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

たぶんなんだけれど、角田監督は控えエリアの雰囲気もとても大事にしていると思う。控えエリアの近くまで来て一緒に試合見ていることもあるし、刈谷大会では控えエリアにいた渡邊選手とも会話していた。そしてフルセットになると控えエリアの選手たちをベンチに入れる采配もその一つだと思う。

控えエリアはチームカラーがあって、NECは本当に一人一人が声を出していて活気があるし、コートにいる選手たちもこんな感じなんだろうなと思わせてくれるくらい一体となっているし(そもそも、控えエリアを見ればチームカラーがわかる、というのを教えてくれたのはこのチームだ)、東レアローズは堀川選手がNEC全員分の声一人出しているくらいだし、JTも吉原監督体制で静かかと思いきや意外と和気藹々としているし。そこは本当に、この世代の女の子たち、という感じにあふれている。

日立リヴァーレの控えエリアは、どこかOLのランチタイムみたいな感じだ。華やかであり、ちょっとリラックスできる場。決しておしゃべりをしているというわけではなく、楽しげな感じがいいのだ。

そう考えてみると角田監督もどこか総務の人というか、社員全体を活性化させる、営業などの現場の人間だけでなくスタッフたちにも声をかけて会社として一体感を作り出すのがとてもうまい人だと思う。見ていて本当にサラリーマンという感じの風貌だし。そもそも松田監督も会社の課長みたいな風貌だった(けっこう監督もカラーが異なっていて、久光の酒井監督は居酒屋の大将みたいだし、NECの金子監督はスポーツジムのインストラクターみたいだ)。

だから、日立リヴァーレってものすごく「会社」を感じさせてくれる。私は何回も書いているけれど、選手たちはプロではなく社員なのだ。黒後愛選手だって東レの事務部の社員だし、古賀紗理那選手だってNECの社会公共ビジネスユニットの社員だ。

日曜の神戸大会では角田監督が審判に抗議する光景がよく見られたけれど、あれは別に怒りをただぶつけているだけでなく、選手の気持ちを代弁している印象を受けたし、「おかしいと思ったことは相手が誰であろうと言うで」という上司としての責任感の表れだと私は思う。後でDAZNで見たけれど、会場内に響き渡るほど声を荒げて(控えのJTの選手たちもびっくりしていた)、チーム警告を受けた後のタイムアイトの最後で「冷静になれよ」と声をかけていたのもこの人らしかった。いや、冷静になるのあんたやろ(笑)。でも、選手からすれば最後にこんなこという監督って肩の力を抜いてくれる存在なんじゃないだろうか。

この左の写真なんか、社員の出社風景に見えるし(笑)、右の角田監督の写真も、社員の働きぶりを見る上司みたいな感じだ。

でも、だいたいこれを読んでいるあなたたちはサラリーマンだろうし、なんのことはない、Vリーグの選手たちも私たちと同じ立場なのだ。