三重魂に魅せられて

ヴィアティン三重
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

先日の鈴鹿大会で、ヴィアティン三重のサポーターたちが、チームにとどまらずV3というリーグ全体を熱く盛り上げてくださったことに対して、何か御礼ができないだろうかと考えるようになった。とはいえもうV3女子は終わってしまった…。そこで「そうか!サッカーチームを見に行けばいいんだ!」と気づいて、直近で近場で行われる日程を調べたらこの日、ということで習志野に足を運んだのだ。

ちなみにヴィアティン三重のサッカーチームは、Jリーグの下のJFLというディビジョンに所属している。バレーボールで例えるのなら地域リーグ、と言った方がわかりやすいだろう。

席種はホームorアウェイのゴール裏しかなかったので、もちろんアウェイを選んだ。私自身FC東京でゴール裏での観戦経験もあるにはあるが、なにせ久しぶりで、しかもJFL自体初観戦。果たして三重から遠く離れた千葉で試合に挑むヴィアティン三重のゴール裏はどうなっているのか。サポーターはどれくらい集まっているのか…。どんな空気感なのか…

恐る恐る入場してヴィアティン三重のエリアに入ると、いきなり目に飛び込んできたのは小さなお子さんのいる家族連れと、大きなぬいぐるみ。ホッとした。そして、思いのほか人がいた。みんな、三重から駆け付けているのだろうか。

とはいえ私はヴィアティン三重サポーターではなく、レプリカユニフォームに身を包んでいるわけでもタオルマフラーを持っているわけでもないので(オレンジ色のシャツとして唯一持っていた、オランダ代表のユニは一応着てきたが)、席はサポーターの集まるところから少し離れた場所にした。

三重エリアを見渡して最初に思ったのは、子供の多さだった。すぐ近くには大旗を抱えるようにして持つ子供もいたし、文字通り老若男女の集まるゴール裏だった。

やがてキックオフが近づいてくると、ヴィアティン三重のコールリーダーとおぼしき人が、ゴール裏エリアを回り始め、次々に「宜しくお願いします」と、一人ずつ握手を交わし始めた(もちろん私もした)。ようこそ。このエリアにいれば誰だってヴィアティン三重サポーター。一緒に楽しみましょう。そんなメッセージに感じた。

試合が始まると、このコールリーダーの元、サポーターたちが声を出して選手を応援した。でも、ときにはサポーター内に笑いが起きたり、どこかリーダーと楽しみながら応援していた。先制点を奪ってリードしていたのもあっただろうが、そこにゴール裏によくある殺伐とした空気は皆無だった(JFLがそういうものなのかもしれないが)。何せ子供が歩き回っているような空間だったのだ。

試合は前半に奪った1点をそのまま守りきり、アウェイで貴重な勝ち点3を手に入れた。大きなお土産を手に入れ、ゴール裏は歓喜に包まれた。試合後の選手との儀式といい、傍から見ていてもその光景は微笑ましかった。そして何より、三重魂を肌で感じられたのがよかった。

 

三重魂とは…それは、

思い思いに楽しもう。だけれど、そこに集った者はみんな仲間。応援して楽しむ仲間。集まった以上はみんなで楽しもうぜ!

これが、女子バレーボール&男子サッカーのヴィアティン三重の選手、サポーターを見てきた中での私なりの三重魂の解釈だ。

そして。だから、「魅せろ~三重魂」は「見せろ」ではなく「魅せろ」───単に見せるだけでなく、魅了しろ───なのだ。

 

最後に。
この日このサッカー場に足を運んだのは、御礼のためだけ、ではなかった。そう、あのチャントを聞きたくなったのだ。

「魅せろ~三重魂」が、千葉のサッカー場にこだまする。

三重魂が集まるそのど真ん中で聞くこのチャントは、格別だった。だから、私はまたどこかへ、彼らの歌声を聞きに行くだろう。