三重魂に魅せられて

ヴィアティン三重
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

試合が終わりVOMインタビューも終え、両チームが挨拶をして一通り試合が終わったタイミングで、ヴィアティン三重の応援団の彼が、アルテミスコールをしたのだ。これは、Vリーグでよく見かけるエール交換、というものだ。都市対抗野球ではおなじみの光景だが、プロ野球(最終戦ではやる風習もある)やサッカー(むしろブーイング交換になる)ではまず見られない、Vリーグならではの文化。

だが、アルテミス側に応援団はいない。で、どうなったかというと、代わりにアルテミスの選手たちがヴィアティン三重コールをする形で、エール交換が行われたのだ。

エール交換はコロナ禍では禁止されたこともあって、最近見られなくなった光景なのだが、それがこうして復活したのは選手もうれしかったようだ。

だが、エール交換は本来応援団同士のもの。なのにここでは応援団…というよりたった一名対選手全員、という構図だったのが、ものすごくいい光景だった。V3っていいな。そう余韻に浸りながら札幌を後にした。

そして何より、二日間を通して最後に「見せろ~三重魂」と歌っているチャントが頭に残った。てか、そもそもその「三重魂」って何だろう。

私自身は三重は縁もゆかりもなく、和歌山の祖父母の家に帰省、そして父の墓参りをするときに通過していただけで(逆に言うと北から南までいつも三重県を縦断していたわけだが)、三重魂と言われてもピンとこなかった。たいていこういう魂というのは、過去の町の生い立ちや背景などとセットで語られるが、私は三重に詳しくない。

だが、この「見せろ~三重魂」のチャントは試合後数日は、頭から離れなくなった。ちなみに「見せろ~三重魂」ではなく「魅せろ~三重魂」だと知ったのは、その後チャントの歌詞全文を調べたときだった。そして原曲が実は「アリバ・アレ」だとも知った。

どうやらサッカー番組「やべっちFC」の挿入歌だったようで、AC長野パルセイロでも使われていたりサッカー界ではおなじみのようなのだが…。そう、これをお読みの方ならうすうす気づいている人もいると思うが、あのJTマーヴェラスのタイムアウトで使われている曲だ。だから頭に残りやすかったんだろう(笑)。

Vリーグの試合を見てしばらく頭から離れなくなる「曲」はいくつかあるが、チャントは初めてだった。一度、この曲を地元のホームゲームで聞いてみたい。そして何より、地元のサポーターたちに背中を押されてプレーするヴィアティン三重を見てみたい。そう思うようになった。

2024年2月24日、AGF鈴鹿体育館───

いつもだったら、片柳アリーナにいた。推しのチームはファイナルステージ進出を逃したけれど、幅広く見るようにしているいつもの自分ならそれに関係なく、足を運んでいたはずだ。