バトンでつないだ一年限りの最高のリーグ~V3女子23/24ダイジェスト~

アルテミス北海道
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

こうしてV3を改めて振り返ると、以下の3つの要素がV3というリーグを彩っていたなと思います。

①たった4チームという希少さ
➁新規参入という瑞々しさ
③一年限りという切なさ

①については、その4チームが見事に全国に分散されていたのも大きかったですね。結果関東、関西といった、Vリーグのファンが足を運びやすい地域にチームがなかった、のも希少さに拍車をかけた印象があります。要は当該チームのファン以外は「近くに来ているのなら見に行くか」がなく、足を運びづらかった。だからこそ4チームのファンはこの楽しさをいわばより「自分たちだけのもの」としてより大切にしたのではと思います。

➁については①にも通ずるのですが、全国に分散したことでそれぞれの地域特性などに合わせて、それぞれのチームの特徴が際立っていたなと。それもあって従来のVリーグのチームとはちょっと違う、というところも多かった気がします。前述しましたが、いわばベンチャー企業ですからね。

私自身、1月のアルテミス北海道のホームゲームを皮切りに5試合しか見ていないのですが、倉敷アブレイズ以外のホームゲームを全て見たことになります(4チームしかないですからね)。そこで何より感じたのは、選手との近さ。ヴィアティン三重はホームゲーム以外でも試合後に場内一周をしていましたし(これは個人的には元々はリガーレ仙台の文化だったと思いますが)、2月の鈴鹿大会の土曜は、第一試合を終えたアルテミス北海道の小山選手が第二試合までのインターバルを確認して「あと5分だって」と、永澤選手を連れてわざわざ一周しに、コートの奥にまで行ってファンからの写真撮影に応じたりしていたのが印象的でした。

アルテミス北海道のホームゲームでは試合後に能登地震の募金活動をしていたのですが、日曜はそのまま出待ちのような光景になり、ファンが入り混じる光景になったんですね。そこで印象的だったのはファンよりはおそらく親族だったり雇用先、そして友達といった関係者の比率の多さでした。こんな光景は今まで見たことがなくて。

それは、つまりはそれだけ地元出身の選手が多いということですし(だから友達、親族がたくさん来た)、さらには雇用先との関係性もいいということですよね。あと子供たちも多かったなあ。

そこにはもちろん「ついにこのチームがVリーグに!」という喜びもあるでしょうね。V3とはいえVリーグはVリーグ。あの入場曲が流れるわけですし、そんな高揚感も感じました。

ちなみにV3女子の一試合あたりの平均観客数は実はV2女子以上だったんですね。先日バレーボール学会にお邪魔した際、國分チェアマンの講演でそんな話が出ました。4チームしかない、そして新規参入したチームが多かった(初のVリーグ)というのもありますが、V3がいかに地域、そしてファンと密接したものだったか、の証と言えるのでは。

そして何より。冒頭に書いたように来シーズンから再編される関係で、この4チームで戦えるのはこの一年だけ。いわば一学年。

つまりは、選手たちの青春を見た思いだったかな。それもあって、アルテミス北海道の全選手退団は、自チームならず他チームのファンにとっても衝撃だったというか、「あの楽しいV3はもう戻ってこない」というのを何より突き付けられたんじゃないかなあ…と思います。

こうしていろいろ考えると、V1にもV2といった従来のVリーグにない、V3という新リーグを見てきたんだな…と思います。

さて、上述した①~③の要素がもたらしたものがあります。それは、連帯です。カギとなる二枚の写真を最後にご紹介します。