“パイセン”・ヴィアティン三重(V3四位)
昨シーズンからVリーグに参入したチームです。そのときはS3ライセンスだったのですが、V3を構成するだけのチーム数がないため、昨シーズンはいわば特例で、本来S2を持っていないと参入できないV2に入っていました。
まずはヴィアティン三重という「クラブ」について説明しますね。ここは男子のサッカーチームとして2012年に設立され、その後2016年に男子、2020年に女子のバレーボールチーム、さらには男子のバスケットボールチームが発足しています。一つのクラブがさまざまな競技のスポーツチームを有するという総合型スポーツクラブで、日本では少ないですがヨーロッパではよく見かけます(例えば、スペインのサッカーチームであるレアル・マドリードやバルセロナにはバスケチームもあります)。日本だと他にはサッカー、野球、バスケを持つアルビレックス新潟が有名ですが、まだまだ少ないです。
ちなみにヴィアティンはオランダ語で14。これだけでピンとくる貴方、サッカー通ですね(笑)。詳しくは長くなるのでここでは話しませんが、あるレジェンドの背番号にあやかった、というところです。オランダ代表のユニはオレンジ色なので、ヴィアティン三重もオレンジなんですよ。ちなみに私はサッカーはオランダ代表好きなのでうれしかったのですが、好きなチームはレアル・マドリード…という点で察してください(笑)。
私自身は昨シーズンV2を見る中でこのチームも見ていたので、知っている選手もいて他のチームに比べてすんなりと見ることができました。ただ、チーム編成が全く同じではないにしても、昨シーズンV2で3勝11敗だったチームがV3で一勝もできなかった、というところにV3のレベルが伺えるのではないでしょうか。V2でもそこそこやれるのでは、と思ったチームばかりでしたからね。
ここまでに出てきたアルテミスとカノアでいくつか事例が出ているように、Vリーグのチームが増えるとUターンして現役を続ける、あるいは復帰するという事例が増えるのですが、ヴィアティン三重でも浅川希選手が津市のご出身。アランマーレで一度現役引退後、一年たって復帰しています。
このチームが一番印象に残ったのは、1月の札幌大会。アルテミス北海道のホームゲームだったのですが、先にコートに入場した選手たちが、アルテミスの選手入場前の演出の映像をニヤニヤしながら見ていて。そして名前を呼ばれて選手たちが一人ずつ入ってきたら、なんとネットまで行って、登場したアルテミスの選手、つまり対戦相手とハイタッチするという(笑)。試合前に、ですよ。
これまで数々のホームゲームでの演出を見てきましたが、対戦相手が一緒になって盛り上げる、というのは初めて見ました。これはちょっとカルチャーショックでしたね。でも、今にして思えばこの「一緒になって盛り上げる」というのが今シーズンのヴィアティン三重、を何より象徴していたと思います(この前の鈴鹿での対戦でアルテミスがやってくれたのでそのお返しだった、みたいな話も聞きました)。
何より他の3チームが新規参入だった中、ヴィアティン三重はいわば先輩。会場運営のノウハウなど、「Vリーグというものは」というのを新入社員の後輩たちに教えていった一シーズンだったのでは、と思います。V3の開幕戦と最終戦がヴィアティン三重のホームゲームだったのも、そういう部分があったのではと思います。
そして何より。ヴィアティン三重はサッカーチームもあるためか、応援もサッカー風。まさにサポーターでした。たまにV1とかでファンをサポーターと呼ぶMCがいるたびに違和感があったのですが、サポーターというのならやっぱりこうやろ、というのがヴィアティン三重でしたね。トラメガ(拡声器)を使っての、チャントなど声が主体の応援。これがサポーターだと思います(個人の見解です)。
シーズンは0勝に終わり、無念のシーズンだったとは思いますが、いわば先輩役として新規参入の3チームにオリエンテーションをしたこと、はもっと評価されるべきだと思います。
ということで、V3女子の各チームについて私なりにまとめました。
私は今シーズンV1、V2、そしてV3と全てのリーグを見てきたわけですが、カテゴリが下になればそれだけVリーグの源流にたどり着いた思いでした。要は「チーム」とは、というのを目の当たりにしたというか。チームを立ち上げるためには。軌道に乗せるには。カテゴリが下がれば、有名な選手はなかなかいない、対戦相手にもいない…と、それだけ注目度は下がります。
だからこそ、注目度に依存しない形でチームに関心を持ってもらう、支援してもらうこと、が必要なわけで。V1のチームもたいていは一から立ち上がったチームばかりですし、過去はこういう時代(設立初期)もあったはず。そういう意味で源流をたどった思いでしたね。
続いては、改めてこのV3というのがどういうリーグだったのか、をいわば総括としてお伝えします。