バトンでつないだ一年限りの最高のリーグ~V3女子23/24ダイジェスト~

アルテミス北海道
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

「ただいま」・カノアラウレアーズ福岡(V3三位)

こちらも地域リーグ時代に一度下記にまとめています。設立の経緯等はこちらをご覧いただければと。

ここはよりバレーボールを事業としている部分が強く、例えば熊本比奈選手を社長にした会社を立ち上げています。簡単に言えば社内ベンチャーというところでしょうか。そのあたりのことは下記の記事にまとめましたが、

それもつまるところSVリーグの基準である売上6億を目指す取り組み、ということで、もはや「カノアラウレアーズ福岡ホールディングス」と言った方がいいのかもしれませんね。私自身福岡は年に数回は長期滞在で「暮らしに」行くほど大好きなところで、いつかVリーグのチームができないかなあ…と思っていたのでうれしかったです。

選手たちについて、でいうとやはりここは熊本比奈選手ですね。キャプテンであり、関連会社の社長。コートでも頼れる大黒柱でした。めちゃくちゃ安心感ありましたね。私自身トヨタ車体やブレス浜松時代は存じ上げず、カノアで見たのが初めてで。当初は木村沙織さんに似ていると思っていたのですが、オーラは思いっきり近江あかりさんでしたね(笑)。

なので和気藹々さもありますが、熊本選手がキャプテンということで、ピリッとした緊張感は試合前からコートに流れていたかな。

他に印象に残ったのはセッターの大西風歌選手。彼女の速いトスは見事で、見ていて試合中につい唸ることが何度もありました。

さて。このチームを語る上で欠かせないのはやはり森田亜貴斗監督でしょう。そのあたりについて私が語るのは野暮だと思うので、ぜひ下記をご一読いただければと思うのですが、

クラブヒストリー | 福岡の女子バレーボールチーム カノアラウレアーズ福岡

何度もチーム消滅の危機にさらされながらも、森田監督の情熱にやがていろんな選手が吸い寄せられ、そしてVリーグを経験した熊本選手が来たことでようやくチームの形が見えてきた…というところでしょうか。あくまで個人的な感想ですが、彼女が来たからチームがVリーグに参入できるまでになった、と言えるほどだと思います。熊本選手は何より福岡県のご出身ですし(名前は隣の県ですが 笑)、地元にチームを作る、ということに何よりのやりがいを感じていたのでは。

バズらせるために森田監督とのコント仕立ての動画を頻繁にアップしたり、プレーだけでなくチームのためにいろんなことを一手に引き受けてきた方ですね。前述の社長就任もそうですし。なので、森田監督と熊本選手の二人三脚でVリーグに「戻ってきた」、そんなチームです。

雇用スポンサー突然の撤退など、このチームは本当に波乱万丈の日々を送ってきたので、ぜひ上記のヒストリーはお読みください。「Vリーグに参入するということ」がリアルに描かれていますので。

熊本選手は引退しましたがGMとしてチームに残るので、これからも森田監督との二人三脚の日々が続きますね。そして社長業(ウナギの養殖)にも注目です。

あとこれは極めて個人的な話ですが、賀谷明日光選手がVリーガーとして戻ってきたこともうれしかったですね。GSS東京サンビームズをやめた後、東京スリジエに入ってバレーボールを続け、そしてカノアに入ったわけですから。スリジエでの彼女のことはこちらに書いていますが、この時期の彼女を見られたのはよかったと思いますし、バレーボールを続けていたからこうして復帰できたんじゃないかなと。

賀谷選手はUターンではないのですが、逆に縁もゆかりもない地に飛び込んできたわけで。だからこののぼりの言葉───ここが私のアナザースカイ───はぴったりでしたね。引退してこれからはファッション業界に飛び込みつつカノアの仕事もするそうで、いわば二刀流。これもまた楽しみですね。

チームとしては、やはり森田監督の影響か、ブロックを三枚で飛ぶなど男子バレーの片鱗が垣間見られるなと。その点が、V3というリーグに多彩さを加えてましたね。いろんなチームがあると楽しいですし。

カノアは2月のホームゲームを見に行ったのですが、これは急遽決めた遠征で、メインは佐賀大会(久光対東レ)だったのですが、翌日にカノアのホームゲームが見られる、というのも決め手になりました。しかもこの日が最後のホームゲームということで、引退セレモニーもありましたし。佐賀からレンタカーで2時間かけて駆け付けたかいがありました。

あ、あともちろん熊本社長の加乃福うなぎも行ってきました。このときはまだ店舗としてはオープンしていませんでしが、これからはここがコートに代わる彼女の活躍の場、となるのでしょうね。

本拠地の福智町がカノアのテーマパークになる、といったらオーバーですが、でもそんな可能性すら感じさせるチームです。小さな町で最大化。これもVリーグの一つのあり方です。