赤ロケイズム・アルテミス北海道(V3二位)
こちらも地域リーグ時代に一度下記にまとめています。詳細はこちらに譲るとして、
こちらもチームとしては「受け皿」ですね。その受け皿が北海道出身選手、というのがポイント。今までは高校・大学を卒業してもチームが道内にないので出ていかざるを得なかった選手が、地元で続けられるようになったのは大きいと思います。開幕時点のメンバー13名中、道内出身者が11名(実に85%!)というのが何より物語っていると思います。
北海道にチームを置くということは結構大変で。まず練習相手がいない(他のVリーグのチームもないですし、地域リーグに参加するようなVリーグ予備軍も今のところいない)のと、試合の移動も大変。スポンサー周りだって北海道は広いので車で5時間とかかかるところもあるわけです。だから今までなかなかチームができなかったのだと思います。
そういったチームの背景については上記の記事ほか、過去取材もさせていただいたので(ありがとうございました!)、そちらをお読みいただくとして、ここでは選手たちについて。
実はアルテミス北海道は今まで見たことがなく、1月の札幌でのホームゲームが初めて、でした。その中で感じたのが、奥山優奈選手、小室祐里選手の二人のVリーグ経験者を核にしてチームを作ってきたんだなと。
上記の取材記事にもあるのですが、チームを立ち上げるにあたって声をかけたのがこの二名の道内出身選手だったんですね。それはたまたま引退していた、というのもありますが、セッターとエースアタッカーというチームの核であり骨格、を真っ先に作ったなと。私は奥山選手はNECレッドロケッツ時代に見たことがありますが、あの古賀紗理那選手にトスを上げた選手、ですからね。
いわばV1強豪チーム仕様の彼女のトスワークが、チーム全体を底上げした。そんな印象を受けましたね。あと、劣勢でもサインは明るく出しているところとか、今でもNEC時代の雰囲気そのまんまで、懐かしく感じました(当時レギュラーだった山口かなめ選手もそうでしたし)。現役復帰した小山綾菜選手もそうですが、この二名のNECのOGが、チームの空気を作ったのでは…と。試合では明るく振舞う、という和気藹々度ではV3で一番だったと思います。
ただ、何より印象に残った、というかぶったまげたのが小室祐里選手です。かわいい担当を自認されているように(笑)、その容姿についてはSNSでもチラチラ出てきて知ってはいたのですが、こんなにカッコいい選手だったとは思わず。得点王に輝いた通りエースアタッカーであることはもちろんのこと、バックアタックは打つわ、声出したり鼓舞はするわ、手を叩いてボールを呼び込むは…。いやいや、すごい選手です。すっかり魅せられましたね。
その二人の元Vリーガーを骨格として、ほかの選手たちのレベルが引き上げられていった…。そんな印象です。小山選手と合わせてのこの三人が、「Vリーグとは」ということを教えていったといいますか。しかも三人とも道内出身ですからね。経験を地元に還元するという、いわばVリーガーの生き方の一つを示したと言えるのでは。さっきも言いましたが、13名中11名が道内出身、と地元率の高さがポイントですからなおさらです。開拓者精神というかな。
私も住んでいたからわかりますが、北海道ってそういう開拓者精神にあふれている土地です。屯田兵のように、そうやって切り開いてきたからこそ今の北海道があるのですからね。
そして、成田郁久美監督も道内出身でNECや久光、そして何より代表として五輪出場経験もありますからね。彼女もチームができたことで指導者としての働き場所ができた(Vリーグの監督はここが初めて)。いわば自分の娘みたいな選手たちをうまくまとめていた印象です。
北海道は遠いですし、遠征の移動も大変というデメリットがありますが、一方で寒さという武器も。1月の札幌大会まで全勝だった倉敷アブレイズが、アルテミス北海道相手にストレート負けしたのはそのせいだったのでは…とも思いましたし(翌日もカノアに負けて二連敗)、そこは地の利を生かしたのかもしれません。当然アルテミス北海道も移動が長くなるハンデはありますが、あったかいところから寒いところに行くよりは、その逆の方がコンディションの調整はしやすいのではないでしょうか。
ホームゲームも行きましたが、ほんと、よくぞ北海道にチームを作ってくださった…と、数年前まで札幌に住んでいた身として思いました。
※これを書いた後に監督、スタッフ、そして選手全員の退団が発表されました。それについてはコメントは差し控えますが、いずれ何かの形でまとめるかもしれません。ただ、今にして思えばあの最終戦で優勝を逃したのはここに遠因があったんだなと。あと、たびたび出てきたNECというのもキーワードかな、と個人的には思うんです。いずれにしても、大変残念なことになりました。