風の谷の東レアローズ第四章

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

そして、神戸大会では個人的な新たな疑問が生まれていた。それは、簡単に言うとチームに対する姿勢ということ、だろうか。神戸大会の二日目は、控えエリアのすぐそばの最前列で、線審にかぶったり写真を撮るのは最悪な場所だったのだが、控え選手たちが目の前を通ったり、声を出している状況の中で、自分も撮ってばかりではなくなにかチームの後押しをすべきなんじゃないだろうか、と。

写真を撮るという行為は、結果的にチームの魅力を伝えることができて少しでもファンが増えてチームの後押しになる、というのが私の中での考えで、それで写真を撮ることを自分なりに肯定していた部分があったけれど、

チームはファイナル8進出をかけて大事な試合を戦っている中で、自分は撮ること以外にやるべきことがあるのではないだろうか。そんな疑問も芽生えていた。実際、昔は撮っていたけれど今では応援団の近くで一緒に応援している知り合いもいる。だから神戸大会では少しでも声を出したり(ただ、私は「○○一本!」みたいに叫ぶ勇気はない。そもそも選手の名前を呼び捨てできない)、ワッショイで手を挙げたり、控えに戻ってきた選手を拍手で出迎えたりとか、いろいろやるようにしてみた。

神戸大会の翌週の滋賀大会の相手は、東地区で当時首位の埼玉上尾メディックス。来週の愛媛が東地区下位のKUROBE、PFUが相手と言うことを考えると、ファイナル8進出に向けた最大の難関といってもよかった。しかも、岡山とのポイント差は4。岡山は一試合消化試合が少なかったので、ポイント差は1になる可能性がある。確実に差を広げるには、3ポイントを取る必要があった。つまり失っていいのは1セットだけ。

そんな東レアローズを、ホーム・滋賀で後押ししなくていつするのだ。気づけばこの日のウカルちゃんアリーナはそんな試合になっていた。

2019/2/9、ウカルちゃんアリーナ。直前に発表された選手公示で、東レに入団が内定した新人3選手(水杉選手は既に登録済み)もコートにいた。選手として初めて迎えるのがホームゲームでありウカルちゃんアリーナというのはチームなりの配慮なのかなと思った。だからこそ、彼女たちに、東レに入ってよかったなと思わせるようなホームゲームの雰囲気にしたいと個人的には思っていた。

そして特別指定席から見たウカルちゃんアリーナの光景はまた違って見えた。当たり前だが、遮るものがスタッフ以外全くない。と同時に、ベンチのすぐ後ろなので試合中のスタッフの指示もよく聞こえるし(逆にテクニカルタイムアウトの指示はそんなに聞こえなかったけれど)。これは神戸大会で控えエリアの近くにいたことで感じたのだが、エリアに近いということは控え選手たちへのベンチの指示が聞こえるので、チームの一員となって選手たちと戦っている気分にすらなった。