THIS IS HOME~NECレッドロケッツの試行錯誤~

NECレッドロケッツ川崎
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

⑩旧来の演出手法の排除

上記の話に繋がりますが、個人的にちょっと…と思ったのが、テクニカルタイムアイトなどでおそらく機構から使うように言われているBGMを、一瞬だけ流してすぐに消していたことです。「はいはいわかりました、流しましたよ」と言わんばかりだと個人的に感じました。

こういうところに、今までのやり方を排除しようとしている姿勢を感じたんですね。そう考えると⑧で述べたことも排除だとも言えます。

なぜ排除しなければならないのでしょう。

共存する道を探れないのでしょうか。

いろいろと改革しようというのはわかりますが、そのやり方が完全否定から入っている印象があります。ライトなファンを取り込もうという意識はものすごく伝わってきましたしそのやり方としては今回の演出は、親しみやすい曲(だいぶ時間がたってしまったのでマンウィズのFLY AGAINの印象しかないですが)を使うなど、正しい部分もあったと思います。

ただ、なぜ排除しなければならないのでしょうか。

話は少し変わりますが、プロ野球の楽天でも少し似たような話と言いますか、来季から応援歌を刷新することでファンの間に賛否がわき起こりました。その刷新への移行方法がファンに反感を与えたようです。ここも昨シーズンから球団主導による応援プロデュースチームができて、応援を球団主導にしていたのですが、その不満も今回噴出したのかもしれません。球団主導による今までの応援歌の排除。

応援は誰のものか。NECのホームゲームはそんな問いをVリーグに出している気がします。

⑪赤く染まらないとどろき

今回のホームゲームでは「赤く染まれ。とどろき」という刺激的なキャッチコピーを打ち出してました。来場者にも簡単なビブスを配ったりしてましたが、赤く染まれといいつつ、私が見に行った試合のNECのユニフォームは白でした。

http://w-volley.necsports.net/2018homegame/

赤く染まれといいつつ選手たちが赤いユニを着ていないというのはどこか肩すかしでは。

リーグ規定では土日の試合は二種類あるユニをそれぞれ着なければいけない、という規定があるのでしょうか。いや、11月で見たトヨタ車体のホームゲームは、土日共に青いユニフォームを着ていたのでそうではないはずです。

トヨタ車体は「青に染めろ」というホームゲーム用のポスターを配っていましたし、NECと同じことをしているのですが、選手たちもきちんと土日共に青を着ていたところが大きな違いです。背景はよくわかりませんが、もし機構がユニフォームの色をしているのだとすれば、変えられないかと申請すればできるはずです。それをしていないのでは。

対戦相手が赤だったら被るから、という可能性もありますが、1/26の対戦相手は日立リヴァーレですから、赤いユニを着ていてもかぶることはないです。しかもNECはチーム名に「レッドロケッツ」とレッドが入っているのですからなおさら!

なーんて推定で話していてもしょうがないので、機構の規程を見てみました。第2条に「チームは、公式試合において予めVリーグ機構が指定したユニフォームカラーを遵守しなければならない」とあるので、ということはあらかじめ指定される前に申し入れる必要があるようです。

https://corp.vleague.or.jp/files/pdf/10_uniform_rule_20181121.pdf

何が言いたいかというと、少しの工夫や手間で、会場の雰囲気をよりいいものにできるはず、ということです。トヨタ車体にできるのですからNECにもできるはず。来季はぜひホーム二戦を赤にしていただきたいなと思います。

川崎はサッカーも、バスケもチームがある屈指のスポーツどころ。とどろきアリーナとサッカーの等々力競技場も同一の敷地にあります。特にフロンターレはJにおける地域密着のお手本のようなクラブなので、市民の間にスポーツクラブが根付いている街でもあります(商店街などフロンターレの露出量はすごいので)。それにNECも追随できるチャンスがあります。ちなみに試合前には富士通レッドウェーブのキャラなど、川崎市のキャラクターによる対決イベントも行われてました。こころフロン太くんがいなかったのは残念でしたが。

とどろきアリーナは、バレーボールに興味を持った2015/16で、初めて「この試合は見たい!」とチケットを発売日に買って見に行ったのがこのとどろきアリーナのNEC対東レで(単に古賀紗理那対木村沙織だったから)、次に行った2016/17は木村沙織さんラストイヤーで、カメラ持って少しでもいい席に、と、私にとってバレーボールファン度の上がり方が非常にわかりやすい場所で、2年ぶりに訪れて最初は「ああ、帰ってきたなあ」と感慨深かったのですが、その思いは吹き飛んでしまいました。もうあの頃のとどろきではなくなっていたので。「ただいま」と帰る場所ではなくなってしまいました。

そんな残念な思いで武蔵小杉駅に戻ったのですが、そんな思いが一気に消し飛んでしまう光景がありました。