THIS IS HOME~NECレッドロケッツの試行錯誤~

NECレッドロケッツ川崎
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⑧応援団の出番がない

先ほどのホームゲームの特設サイトのタイムスケジュールにはこうあります。

DJ主導の応援練習タイム!(変更になる可能性もございますので、あらかじめご了承ください)

応援団、チアと一緒に一丸となってレッドロケッツを応援しよう!

今シーズンから新たな応援方法へと変化いたします。

引用元:http://w-volley.necsports.net/2018homegame/

新たな応援方法とありますが、得点時など、いつもは応援団が仕切るところを、全てチームというかDJがやっていたことになります。

いつもは

得点時は応援団がそれに合わせた曲をとっさに選び、その選手のボードをとっさにあげてファンが誰の名前を叫べばいいかリードすることでファンが叫ぶ。「応援」になるわけです。

ところがこのホームゲームは、

得点時はDJがとっさに同じ音楽を流し(森のくまさんだけはリミックスして使ってました)、選手の画像を表示させる。もっとも選手の画像を表示させても曲は「GO GO ROCKETS」と叫ぶだけの曲なので、選手の名前はコールしないわけです。

これって「応援」なのかなあ…

テクニカルタイムアウトに入るときも、MAN WITH A MISSIONの「FLY AGAIN」など曲がいくつかあったのでファンには「えっと、何を流すの?ああ、これか。えーっとこの曲では…」みたいな間があって、非常にもったいなかったなと。得点を決めて、テクニカルタイムアウトに入ったらそのいい流れを続かせるために曲の入りってとても大事なのですが(東レはこれが絶妙)、完全にそれがなかったです。

会場は先ほどのマンウィズだったり、それなりにポピュラーな曲でそれなりの盛り上がりを作れているのですが、選手を応援する、背中を押すアリーナには全くなっていなくて。ホームゲームのアドバンテージを逆に放棄しているかのような空気でした。

簡単に言うなら自発的に沸き上がる応援ではなく、上から指示されてやらされる応援になっていたから、です。これがまだDJが客席にいるのなら変わってくるのですが、違いますからね。一緒になって盛り上げよう、という形にはなってなかったなと。

そして、NECはホームゲームで相手チームの音響を使わせないチームだったのですが(他にもデンソーがこの方針です。久光もだったかな?)、相手チームは音響が使えないという制約を逆にパワーに変えていた印象があります。だったら大声出して精一杯応援しよう!と一致団結するというか。不利なことを強いられて逆に燃えるというか。

相手の音響を封じることで相手を凌駕する会場の盛り上がりを作れれば効果はあるのですが、NECの場合音響停止は完全に逆効果になっていました。

応援団の人は、何もやらせてもらえず、DJが主導する音楽に合わせてファンを盛り上げようと頑張るしかなくて、これはかわいそうだなと思いました。

とにかく音楽流して盛り上げようというのは、ライトなファンを取り込もうとする点で試すべき手法かもしれません。ただ、会場が一体になった雰囲気というのもライトなファンは魅了されるのではないでしょうか。その雰囲気は残念ながらこの日のとどろきにはありませんでした。特にNECは相手のサーブミス時には音楽を流さないといういい伝統があるのですが、この試合でもそれは守られていたのはよかったのですが、日立もそれをしないチームなので、あれだBGMが多用されていてもサーブミス時には会場が静かになるという現象も起きていて個人的には違和感を覚えました。

個人的には、この新しい応援スタイルは大田大会でやってみて明らかに課題が出たはずです。それを修正する期間はあったはずなのに、「何と言われようと今年はこのスタイルで行くんだ!」という強い意思があったのか、1月のとどろきも全く変わってなかったです。

12月の皇后杯準決勝、NEC対久光は大田区総合体育館で行われたのですが、いつもの応援スタイルということもあったのか、こちらの方がよっぽどホームゲームでした。先ほどのとどろきアリーナでの試合の後、NECファンの人とこの応援スタイルの話になったのですが、ホームゲームではない遠征の試合の方が楽しいと言われて、これが今のファンの方の気持ちではないのかなと。

⑨DJが応援団長でいいのか

上の話とほとんど同じことを書きますが、つまりはこういうことなんじゃないかと思います。

各チームに移管されたホームゲームを盛り上げるために、DJの存在は今まで以上に欠かせない存在になったのではと思います(東レや日立のように使っていないチームもあります)。彼らに求められているのは、円滑な進行(選手名を間違えるなどもってのほか)と、会場を盛り上げて選手を後押しすることです。

この盛り上げ方、がDJによって大きく異なると思います。トヨタ車体も岡山もKUROBEは、応援に関しては応援団長に主導権を渡して、DJはそのアシストに回ってました。岡山は、「岡山コール」のときに「おーかーやーまー」と一度だけ(これがとても大事)コールして、応援団をアシストしてました。

またKUROBEは、試合前は選手を簡単に紹介しつつ「○○選手に拍手を~」(これを相手チームにもやっていたのは素晴らしかった)と主導しますが、試合中は完全に応援団に任せてました。何より試合前に応援団員を「漁師の息子○○」など、親しみが湧きやすいプロフィールと愛称付で紹介していたのがよかったです。応援団員を会場を盛り上げる仲間として紹介していました。

ある意味DJと応援団長が同じ位置にいたという感じです。NECは完全にDJが君臨していた、上に立っていました。それが今回このようなホームゲームになったのだと思います。