旋風の谷の東レアローズ

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

気づけば仙台は今シーズン最後の地どころか、JT、トヨタ車体、NECと共にファイナル3進出も見える状況で迎えていた。この時点でポイントはJT14、トヨタ車体13、東レ11、NEC10だった。東レはトヨタ車体に勝ち、かつJTとの結果次第でファイナル3に進出できる可能性がある状況だった。西地区レギュラーシーズン上位との対決が残っていたわけだけれど、元々0ポイントでスタートした東レは勝ち続けしかなかったし、上位を直接叩けるということは自力で突破できる状況でもあった。こうして私は仙台に向かった。

3/23(土)の仙台・ゼビオアリーナでの第一試合。私の目の前で、NECは埼玉上尾にストレートであっさりと敗れてしまった。NECは短期決戦に強い印象があるし、ファイナル3に進出できると思っていたのだが、なぜかファイナル3は元気がなかった。というよりもしかしたら初戦の東レ戦での逆転負けで歯車が狂ってしまったのかもしれない…

あれ?ということは、この後の第二試合で東レはトヨタ車体にフルセット以外で勝てば、トヨタ車体13、東レ14になってファイナル3が確定するのか!

試合前にふと気づいて、私のテンションも一気に上がった。負ければファイナル3進出はなくなる。勝っても、2セット取られてフルに持ち込まれたら、翌日のJT戦に勝つ必要があった。

つまり、最低でもトヨタ車体相手に3-1での勝利が絶対条件だった。この状況は、ファイナル8進出がかかっていた、2月の滋賀大会の埼玉上尾戦と同じだった。

ファイナル8に入って、私は今までマイルールとしていた「(いわゆる)スーパーシートでは見ない」をあっさりと撤回していた。実は深谷の日曜以外は全てDAZNシートで見ていた。2月の滋賀大会で初めてスーパーシートで見て、そこでの光景に感動したのが大きかった。遮るものがないから、ではない。ベンチのスタッフ達の指示、プレー中の監督の指示がダイレクトに聞こえ、かつ選手たちを間近で後押しできると感じたからだ。

ただ、間近だといっても、ベンチに戻ってきた選手を拍手で迎えたりとか、そういうことしかしていなかった(まあ写真を撮っているからだが)。愛称とはいえ、選手を呼び捨てして叫ぶことなどできなかった。

のだが…

ファイナル3進出がかかるトヨタ車体との試合で、しかも1セットを取られてもう1セットも取られてはいけないという試合展開の中で、自然と「エリナ行けえぇぇぇ!」と叫んでいた(MBなのでベンチで待機していてそこからコートに入っていくことが多かったのでそのときに)。二階の、少し離れたところにいる応援団とは別に、選手の間近にいる私も、選手を声で後押しすべきなのではないか。いわば応援団の別働隊みたいな感じで、選手たちの背中を押すべきではないのか。

自然とそんな気持ちになっていた。それは、ファイナル3進出がかかっていた、ということもあったし、試合展開が白熱していたということもあった。このセットを取られたらファイナル3進出が持ち越しになる第四セットも、25-23という接戦だった。

でも、デュースに持ち込ませなかった。粘る相手を最後の最後で振り落とした。そんな感じだった。快勝、だった。しかも私のいたコートは東レのスタートコートの逆サイドだったけれど、だからこそ3-1となったことで結果的に勝利の瞬間を目の前で見ることができた。

Vリーグでこんなに熱くなった試合は初めてだった。そして、自分も声を出して応援したことで、試合、そしてチームへの参加感もあった。ベンチ裏に座っていると、自分もベンチの一員なんじゃないかと勝手に錯覚することもある。だって、声で選手を後押しできるのだから(ベンチのスタッフも大声出しているし)。