旋風の谷の東レアローズ

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

正直、仙台が今シーズン最後の地になると思っていた。

1年のブランクを経て11月3日の開幕戦からどっぷりVリーグ、そして東レアローズにハマってきた私の長い旅の終わりは仙台だ。そう思っていた。なにせ、ファイナル8に進出できるかどうかもわからない状態だったし、西地区4位だったので与えられたポイントは0。

一位通過の久光とNECは6ポイントも与えられている(もっともシーズン通して獲得したポイント数はNECを上回っているのだが)。どう考えたってファイナル3進出なんか無理だ。

だから私のファイナル8の予想はこうだった。埼玉上尾ならファイナルで久光を倒せるかもしれない。東レはどう考えても0ポイントだからせいぜい6位だ。

そう思っていた。

東レにとってファイナル8の開幕戦だった、福岡・照葉積水ハウスアリーナでのNEC戦を私はDAZNで見ていたが(たった一試合のためだけに遠い福岡に行く選択肢は私にはなかった)、あっさりと0-2になり、まあこんなもんだよねー、と思って私は途中で寝てしまった。「東レが3-2で勝ちました!」という矢田部さんの実況で目が覚めた。えっ?勝ったの?

そんな感覚だった。

私にとってのファイナル8開幕戦は、翌週の花巻だった。相手は久光。勝てる気がしねー。現地に着いてリヴァーレファンの人に「今日東レが久光に勝ったらどうなるんですか?」と聞かれた。たぶんその人は東レの順位がどうなるかとかそういうことを聞きたかったに違いない。でも私はこう答えた。「ファイナル3進出争いが面白くなります」。そりゃそうだ。その人も聞きたかったのはそういうことじゃない、みたいに笑っていた。私の中ではファイナル3進出は他人事だった。どのチームがファイナル3に進むのだろう。埼玉上尾か、はたまたNECか。

そうして迎えた久光戦。東レは先日選手登録したばかりの石川真佑選手をスタメンで起用してきた。ユニフォーム姿を見るだけでも貴重だなと試合前練習で感じていたのだが、まさかのスタメン。注目の若手選手のデビュー戦を目の当たりにする幸運を感じつつ、初得点は絶対に収めたいと思っていた。

第一セットでいきなり新鍋選手にサーブで狙われるという強烈な洗礼を浴びつつ、まさかまさかあの久光から第一セットを取り、これはもしかしたらいけるかも!と思ったら、どうやら久光を本気にさせてしまったようでそのあと立て続けに3セット取られてジ・エンド。久光のチームバスにみすみす☆を一枚献上してしまった(バスに誇らしげに貼られている☆が、今シーズンの勝利数を表しているのは初めて知った。「今日は☆ではなく★をつけてやるぅ」とか息巻いていたのがまずかったのかもしれない)。ストップ・ザ・久光。ある意味Vリーグは久光とそれ以外という構図ができている中でその一番手になれればと思っていたのだが、無理だった(そりゃそうだ4位だもん。でもね)。

まあ久光(というか新鍋様)に一蹴されるのは想定内だったけれど、翌日の埼玉上尾戦は危なげなく勝ち(1月の黒部も2月の滋賀も埼玉上尾との対戦は見たが、なぜか東レは相性がよかった)、翌週の深谷も日立リヴァーレを下し、前日NECをあっさり下して勢いに乗っていると思って恐れていたデンソーも、第一セットこそ取られたものの、その後はあっさりとひっくり返してしまった。