北の大地で生まれる幸せなサイクル。アルテミス北海道 Vリーグへの挑戦

アルテミス北海道
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

■やってみないとわからない「V.LEAGUE REBORN」

───ここからはVリーグの現状についてお話を伺います。バレーボールがさらに盛り上がるためにはアルテミス北海道のように、チームがさらに全国各地にできることだと思いますが、そのためにリーグとして必要だと思うこと、改善すべきと思うことをお聞かせください。まず参入過程で感じたことは何ですか?

工藤:何よりの問題はコロナ禍で試合ができず、「参入の成績要件を言われたって、試合ができないんだよ!(笑)」だけでしたね。

───確かに「Vリーグライセンス交付規則」の第21条〔競技基準〕は、全国規模の大会での優勝またはそれに準ずる成績や、Vリーグのチームとの対戦で相応の競技力を持つと判断されること、などとあいまいではあります。アルテミス北海道の場合は2021年度の全国6人制バレーボールリーグ総合男女優勝大会において、女子東部決勝リーグで優勝したことが大きかったんでしょうね。

工藤:でも、参入までもう1年前倒ししたかったなというのは正直なところですね。コロナ禍で試合ができませんでしたから。とはいえそれはギャンブルな計画だったので、結果的には本来のスケジュール通りになったんですけどね。

───それ以外にライセンス申請などで何か問題や課題はありましたか?

工藤:いや、特になかったです。先にVリーグに参入していたヴォレアスやサフィルヴァからも情報をもらいましたし。そもそも初年度で収支もきっちり出していたので、問題ないだろうねって。

───とはいえアルテミス北海道と違って参入する地域にVリーグのチームがない場合などは聞くチームもないですし、これはOK、これはダメという事例くらいはわかるとありがたいでしょうね。ちなみに2024-25シーズンからのSVリーグと新Vリーグのライセンス要件も既に交付されていますが、率直にどういう印象を受けますか。

工藤:ここから作り込んでいくので、まだ何とも、実感はないって感じですね。先日アンダーカテゴリーの要件について、資料だけではわからないので直接確認したことがありましたけれど、このように噛み合ってない部分だったり、それぞれの地域の特性もあったりするでしょうから。

最初はそういうものですよ。そして、こういう例が出てきたらこういう問題点があるね、というのが今後増えて、改訂していくことになると思います。

───JリーグやBリーグに携わった大河正明副会長だから、ライセンスはお手の物だし、事細かく決まっているのかなと思ったのですが、競技の違いもあるからですかね。

工藤:でも項目が増えたことは増えましたが、それほどでもないですよ。今まで一枚で済んでいたのが何枚にも分かれた、より細く出しなさい、ということくらいですかね。

───率直にお聞きします。2024-25シーズンから始まる一大改革「V.LEAGUE REBORN」についてどう思いますか?

工藤:「やってみないとわかんないでしょ」と思っていて。ただ、JリーグもBリーグも成功したのは、リーグがお金を集めてそれをチームに分配できるようにしたからだ、って僕は思っているんですよ。

だから今回、みんなにやれっていう以上、リーグも頑張ってお金を集めて分配する、というところをやらないと絵に描いた餅になると思っています。なので数年はSVリーグではなく新Vリーグの方で様子を見るチームもあるんじゃないですかね。ウチもそうなるんですけど(笑)。

───でもSVリーグに上がることも考えてはいるんですよね?

工藤:はい、考えてます。基本はSVを狙っていこうと。

───運営費もSVは6億だけど26-27までは4億、アリーナも29-30までは3000名以上など、ライセンスには猶予を設けている項目もあります。

工藤:いろいろと意見を聞いて、ライセンス要件も変わっていく印象はありますね。とはいえ、あまり長い猶予期間にしちゃうとその間にどうしようもなくなって、結局できませんでした、で、振出しに戻ることもありますよね。だから短めにして、そこでもう一回ジャッジをするというのが大河副会長の説明でした。

ちなみにウチは、アリーナ問題(※5000人以上)に関しては北海きたえーるでクリアできます。ただ、Bリーグのレバンガ北海道が新B1ライセンスを満たす必要があって。例えば札幌市に新アリーナを建設するにしても、彼らだけでなくて北海道イエロースターズ、そしてウチと札幌に3つもチームあると影響力が違うじゃないですか。レバンガとしてはウチが増えたことがありがたいでしょうけど(笑)。ルクソールシステムとして彼らもスポンサードしていますし、共催もいつかやりましょう、という話をしていますよ。

───BリーグとVリーグ女子の共催は2018年の金沢武士団とPFUブルーキャッツ、2020年の川崎ブレイブサンダースとNECレッドロケッツと事例もありますからね。