逆風の谷の東レアローズ

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

名古屋に向かう足取りが、重かった。

今シーズンからVリーグにハマって何度も乗ってきた東海道新幹線。見慣れてきた車窓がどこか重たく感じた。2ヶ月前の神戸大会とかもっと楽しい気持ちで遠征していたのにな。

シーズンが終わりに近づくにつれ、私の遠征出発時間も遅くなっていった。いつもは夜明け前の薄明かりの中出かけていたのが、日の出も早くなり、かつ一試合しかないので試合開始時間が遅くなるため、家を出るのが遅くなった。そんなシーズンの終わりを感じていた重さもあったかもしれない。いや、仕事がうまくいっていないことでも気分的にも重くなっていたかもしれない。

でも、やはり、この重さは間違いなくファイナルだからだ、と思った。大一番。そんな漢字三文字で済ませたくないくらいの重さ。しかも相手はぶっちぎりで今シーズンを終えた久光様だ。

まあ、ファイナルは2戦あるので一試合は負けられる。このロジックは先週のファイナル3と一緒だ。むしろ今日は0-3で敗れてもいい。来週に向けて久光にエサを蒔けばいい。実はそのエサには毒が…とか、それでいい。だから0-3であっさりと新鍋様に一蹴されていい。

…負けを見に、そして一蹴されるために名古屋に行くのか。

そんな気の重さが名古屋に向かう1時間40分の新幹線の中、ずっと続いていた。

これまで名古屋は西尾と刈谷に来たけれど、会場はそれとはまた違う、武田テバオーシャンアリーナという会場だった。名古屋駅から乗ったあおなみ線は盛況だった。でもほとんど98%くらいがレゴランドに向かってしまった。オーシャンアリーナはまだ新しい会場なのか、どこか輝いて見えた。開放感あふれるロビーも明るく、場内はV2の選手たちが募金活動をし、佐藤あり紗さん(私にとってはVリーグの魅力を教えてくれた一人だ)がファンの人たちと交流していた。どこかフェスのような、そんな雰囲気だった。レギュラーシーズンと違ってファイナルはその2チームだけの試合だから当然対象となる人数(ファン数)は減る。だけれど、その分ファイナルだからと見る他のチームなりバレーボールファンもいるし、それ以上に普段全然見ないけれどファイナルだから…という人もいる。

そういう人たちにも楽しめるファイナル、という雰囲気が伝わってきた。先に言うと試合中には合間合間にこんな表示を挟んでいてとてもありがたかった。