東レアローズ新聞で振り返る22/23シーズン~後編~

東レアローズ
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

東レアローズの試合を新聞形式で伝える東レアローズ新聞「アンビバレント」。その紙面を通して新聞を作っている私が、紙面に込めたネタや思いなどと共にシーズンを振り返ります。

2022年内までの前編に続き、ここでは2023年からの後編をお送りします。

2023.1.7 トヨタ車体クインシーズ戦(大津)

【一面】それまでリリーフサーバーのみ→後衛出場、とステップを踏んでいた黒後愛選手の復活プロジェクト。それまでサービスエースでの得点はあったけれどアタックでの得点はなし。ところがこの試合、最後の最後でバックアタックが飛び出し、ついにアタックでの得点…

それがわかる内容にしました(なので帳票だけ)。コピーを入れなかった紙面はこれが唯一じゃないかな…余計な言葉はいらなかったなと。あと新年最初の新聞なので、石川真佑選手の背中のロゴと合わせて「HAPPY NEW YEARROWS」という文字をサラッと入れてます。

【中面】いわば一面の補足ですね。そしてコラムでは、そのバックアタックにつながる伏線と思われる一枚を使っています。これは我ながらいい写真だと思います。証拠写真じゃないけれど、後で見たらこの写真って…という気付きになるのが私は好きなんです。

2023.1.8 トヨタ車体クインシーズ戦(大津)

【一面】前日の試合で復活に向けた新たな一歩を印象付けた黒後愛選手。年内まではマスクをしたままプレーしたり、どこかブレーキというか、「私はここまででいい」みたいに制限をかけている印象を受けていたのですが、マスクも外し、アタックでの点も決めるなど、「黒後愛」がよみがえりつつあるなと。そして蘇生ではなく甦生という言葉にしています。

なんでそうしたかというと、蘇生は医療用語というか、文字通り死にかけていた人が息を吹き返すということで、そういう言葉は使いたくないなと。さらに東レアローズのロゴとセットにすることで、黒後選手の体の中にアローズ(の魂)が宿り始めた、ということを表しています。

試合を伝える以上、そして選手を写真と共にご紹介する以上、私もそれなりの思いというか意思を持って作っております。

【中面】これまでの敗戦は、実は全てフルセットだったので1ポイントは取っていたんです。この試合は初の0ポイント。試合内容もよくなかったので、ユニフォームの色に合わせて「黄色信号」という見出しにしました。

コラムは、実は大津は歴史の名所がたくさんあるよ、という紹介です。京都のそばということもあって、戦国時代以前の歴史のスポットも結構あるんです。さらに、来年の大河ドラマ「光る君へ」でも、大津が舞台になっています。ホームゲームと合わせてぜひ歴史スポット巡りも!(笑)

2023.1.21 NECレッドロケッツ戦(岐阜)

【一面】越谷監督って歴史好きなんですよね。なにせ木村沙織さんの引退記念フォトブックの質問に「縄文土器と弥生土器どっちが好き?」とぶっ込んだ方ですから(笑)。なので大河ドラマも見ているはず、ということで「どうする家康」にかけています。

そしてさりげなく「コートインのタイミングがまだつかめない小川」と小ネタ(笑)が入っています(それについて、詳しくはこちらを)。

【中面】トヨタ車体戦に続く連敗になったわけですが、ヤナ・石川の両選手に頼るだけではなく攻撃と守備で支える第三の矢が必要だ、としました。これ、何のことはない、黒後選手にそうなってほしいという思いからです。ただこれだけでは伝わらないと思ったので、選手レビュー欄にも書きました。とはいえまだこの段階ではそれは酷だろうなと。シーズン終盤でそうなってくれたら、と思ってました。

コラムではこのとき起きたスタートコート表記問題に触れています。要はスタートコートの表記がわかりづらく、NECファンは去年の岐阜大会と同じだと思ったら逆で、結果、東レのスタートコート側にNECファンがたくさんいる状態になってしまったんですね。

それに疑問を呈するツイートも見かけたので、これはこういうことがあったからだよ、NECファンは悪くないよ、ということを伝えようとしました。

2023.1.22 NECレッドロケッツ戦(岐阜)

【一面】いい試合でしたね(笑)。二セットを奪われて、昨日の続きやん…何も成長しとらんやん…と頭を抱えて、負けたときの一面をどうしようかと考えていた中での大逆転劇。そんな熱い試合だったということもあり、近くを流れる長良川が沸騰するような熱い試合だった、という思いを込めています。というのと、岐阜大会はホームゲームでしたからね。

前述しましたが、地名とか地元ならではの言葉が入ると紙面が締まるんですよね。それだけでどこで行われた試合だったか、わかるじゃないですか。

【中面】岐阜大会はで愛ドームで行われたので、「出会い」という言葉を見出しに使っています。この試合は何より応援団が素晴らしかった。そのことはコラムで書いてますが、そういう観客の熱に選手たちも引っ張られた、そう感じて選手と会場の出会い、としています。

個人的にはこの試合は西川吉野選手が大きかったですね。同じNEC相手の皇后杯決勝は途中で下がりましたけれど、この試合は逆で途中投入。結果、勝利に貢献しましたからね。誰もそこは言わないだろうけれど、こうして紙面で指摘することって選手にとって大事だと私は思います。その点では二度目の全員起用をした越谷監督に触れているのも同じです。