パッと見た印象ではKUROBEはいつものように(8試合見てきた中でのいつも)笑顔が弾けてリラックスしている印象を受けたが、PFUのそれは固かった。一勝もできなかったというのは、一言で言えば全否定にもつながる。その重苦しさは、PFUの試合を見ているうちにだんだんと感じるようになった。特に2月の松山でのシーズンとなった東レ戦は、フルセットにもつれ、あと一歩で勝てるというところまで来ていただけになおさらだった。
勝てない。これは何より選手やチームの気持ちを重くさせるのだと思った。当たり前のことなのだが。
ただ、練習開始前の円陣で控え選手たちが「繋」と書かれた選手たちの手形が押されている垂れ幕を首から提げて走ってきた。
控え選手たちは控え選手たちで、選手たちを鼓舞している。明るい雰囲気を出そうとしている。そんな光景だった。
PFUは今シーズン一勝もできなかったけれど、見ている限りは雰囲気は悪くなかった。特に松山での東レ戦は控え選手と登録外選手がめちゃくちゃ盛り上げていたのが印象的だった。
ただ、試合開始前に選手たちが円陣を組むときに気づいた。あれ?監督が加藤さんじゃない。これは試合後に知るのだが、休養に入っていて代わりに舟越コーチが指揮を執っていた。サッカーでも降格争いをしているチームが監督を更迭することはよくあるので個人的には違和感はなかったが、このタイミングでここまでするのかとは思った。
PFUとしては勝つための手は全て打った。そんな印象だった。
こうして試合は始まった。
第一セットからいきなりフルセットにもつれ込んだ試合は、KUROBEが29-27でPFUを振り落とした。シーズン中一勝もできなかった=KUROBEに勝てなかったPFUだけれど、ここでは必死に食らいついてきたという印象だった。ちなみにレギュラーラウンドではPFUはKUROBE相手に0-3、1-3で敗れている。
一方第二セットは25-21でPFUが取り返した。本当に一進一退の攻防を繰り広げていた。
第三セットは完全にKUROBEがペースを上げ、25-17でPFUを下した。ここはもう、レギュラーラウンドの差が出たという印象を受けた。そして応援団も選手を後押ししていた。KUROBE名物の勇壮な太鼓が鳴り響き、そして何よりテクニカルタイムアウトに入ったときにすかさず入れる応援曲のタイミングが絶妙だった。間を作らせなかった。
セットカウントKUROBE2-1PFU。
こうして第四セットを迎えた。そして、セット間のタイムアイトが私の目で行われていたのだが…