風の谷の東レアローズ18/19ファイナル

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

試合終了の瞬間は、私の目の前に東レアローズの選手たちがいた。試合前から願っていたのは、負けても涙にくれる選手たちの姿なんか見たくない、ということだった。負けても胸張って欲しい、そう思っていた。そしてそれは、これだけは悲しい意味で想定通りになった。

選手たちは一旦引き上げ、そして表彰式で再び登場した。明らかにロッカールームで泣いたんだろうなという白井美沙紀選手の姿が印象的だった。コート上では平静を装っていた選手たちも、ロッカールームでは涙にくれていたのかもしれない。

やがて選手たちに準優勝のメダルがプレゼントされたのだが、表彰台に立っていた選手たちが突然手をつなぎだした。

それをファインダー越しに見ていて…

ああ、これが私がこの半年間23試合も追い、撮り、伝え続けてきた東レアローズというチームだったんだなあとつくづく思った。

それは私の何よりの誇りだったと同時に、ファンみんなの誇りだっただろう。

表彰を終え、選手が引き上げていくときに最後は堀川さんだったので、ベンチ裏シートの特権で今シーズンお疲れさまでした、と声をかけると、にっこり笑ってくれたのが印象的だった。間違いなく、チームを準優勝に導いたのは大声で選手を鼓舞し続けたこのキャプテンあってこそ、だった。

負けた結果の準優勝ではない。4位通過でポイント0から這い上がって勝ち取った準優勝だった。

普段は出待ちをしないんだけれど、シーズン最終戦だけは感謝の気持ちを伝えに行こうと思っていた。その思いは推しの選手に話せたけれど、何より出待ちの空気がよかった。ファンも、シアワセなシーズンだったのだと思う。試合後にいろんなファンの方と話したんだけれど、楽しいシーズンだったと口々に言っていた。シーズン最終戦ということでファンの方と飲んで終電を逃した私は、そのままホテルを取って泊まることにした。東京が泊まりを伴う遠征になるとは思わなかった。こうしてファイナルの一日が終わった。

私のリーグ戦が、終わった。

ファイナルの前日、テレビでは「風立ちぬ」をやっていた。そもそもこの「風の谷の東レアローズ」も、たまたまテレビでやっていて、ナウシカが木村沙織さんに見えたことから名付けたものなのだが、「風立ちぬ」をぼんやりと見ていて、ああ、同じ宮崎アニメだけれど偶然「風」という言葉が入っているじゃないか!と。

ファイナル前日に起きた偶然に、ちょっとびっくりした。

風立ちぬって「風が立たない」という意味なのかと思って縁起が悪いなと思ってさらっと検索してみたら、ああ、まさに今の東レアローズにぴったりの言葉じゃないかと思った。

準優勝に輝き、これからの未来を感じさせる東レアローズにぴったりの言葉。

風立ちぬ=風が吹いた。さあ、生きよう。

風の谷の東レアローズ18/19シーズン