風の谷の東レアローズ18/19ファイナル

東レアローズ滋賀
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Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

先週の愛知に続きこの日も久光は久光だった。アキンラデウォのブロードが冴え、新鍋選手のサーブは相変わらず相手の陣形を崩した。ただ、試合を見ていて自然と関選手を撮ることが増えていった。もしかしてだけれど、それだけこの日はオーラを放っていたのかもしれない。先週の試合で途中で下がったような、そんな関選手ではなかった。

第一セットは結果的に31-29で落としてしまうが、少なくとも先週のような東レアローズではないぞ、というのはこのとき示されていた。そして第二セット、第三セットと東レは連取し、2-1とリードする展開になっていった。クラン、黒後の両OHは言うまでもなく、井上選手のブロードが効き、大野選手の速攻も冴え渡っていた。先週は途中から石川選手に替えられてしまった中田選手も、この日はどこか気迫がみなぎっていた。

ここ最近の試合で流れを変えるジョーカーとして起用されていた小川選手の出番もなく、石川選手は何回か菅野監督に呼ばれてベンチには座るものの、すぐに下がる…そんな展開だった。流れを変えるための二人は、変える必要のない流れのために出番がなかった。そんな感じだ。石川選手をベンチに呼んだのは、いざというときに起用するときに試合の雰囲気を間近で感じさせるためと、「そんなプレーしてると替えるぞ」というコートの選手たちへの檄かなと個人的には思っていた。

ただ、本来セッターの日高選手のリベロ登録にはびっくりしたけれど、中島選手をリリーフサーバーとして起用することでリリーフを安定させるのと、黒後選手を少しでも休ませるための策なのかなと思った(珍しくTOでベンチに座るシーンもあった)。

なーんて書けるようになったのも、今シーズンの私の成長の証なのかもしれない。そして、シーズン開幕時とファイナルを比べて変わったことはもう一つあった。

私にとっては一年半の空白を経て戻ってきたVリーグの世界。最初はいつもの通りアリーナ席に座ってひたすら写真を撮る。いわゆるスーパーシートには座らない(そういう席はもっと本格的なカメラマンの方が座るべき)。そんなに遠征もしない。選手を呼び捨てになんかとてもできないから声も出さない。そんなルールで臨んでいた。

ところが。ファイナルを迎え、気づけば愛媛大会まで足を運び、ファイナル8は初戦の福岡以外全て見て、そしてベンチ裏シートで撮りながら「セナ、ナイスサー!」とか叫んでいる自分がいた(テニスをやっていた身としては、サーブを打つときにそう言われると力になるし、サーブが入って「OK!」とか言われるのも気持ちが上がるのでそういう声かけをするようにしている)。

一番大きかったのは、ベンチ裏のシートは、遮るものもなく選手を間近で撮れる席、だけではなく、選手たちを間近で声をかけて応援できる席だ、と気づいたことだった。

そう。気づけば第三者として東レアローズを見るのではなく、当事者の一人として見ている。さらに、一緒に戦っている。そんな感覚だった。

じゃあなんでそうなっていったのかというとそれは何より、東レアローズがそうさせたいと思わせてくれるチームだったから、だ。

この日は控えエリアも近かったんだけれど、堀川選手が声をからさんばかりに「レフト注意レフト!」とか叫んでいるのにもっと大声出せる私が黙っていちゃいけない。あと、同じ「ここからやぞ!」(東レが関西のチームだと言うことも、私が好きになった理由だと思う)も、ベンチのスタッフが言うのと一ファンが言うのとでは全然違うはずだ。

開幕からたった半年で、いつの間にかこんな自分になっていた。