想定通りにことが運んでいった。奇跡のシナリオ。一言で言えばそうなるだろうか。
2019年4月13日、東京・調布市の武蔵野の森スポーツプラザ。これまで隣のスタジアムには何度も足を運んでいたなじみのある場所が、今回のファイナルの舞台となった。いよいよファイナルか…先週以上に重い気持ちで飛田給に向かった。外は今まで出かけたどの遠征よりもあたたかく、快晴の空がファイナルの気分を盛り上げてくれた。
先週の名古屋でのファイナル第一戦はストレートで敗れた東レ。その試合のことはここに書いたが、0-3で敗れることは想定通りでシナリオ通りだった。
とはいえ。実力差を改めてまざまざと見せ付けられたのも事実だ。たぶんシミュレーションゲームとかやったら、10回、いや20回やってやっと東レが勝つ。そんな感覚だった。だから気持ちが重たかった。
そんな東レが優勝するには、個人的にはフルセットで勝って、ゴールデンセットに持ち込むしかないと思っていた。理由は二つある。一つは、東レはこれまでそういう崖っぷちの戦いを繰り返して勝ち上がってきたから。しかもフルセットでの勝利から、その勢いでゴールデンセットで勝利して勝ち上がり、は、2週間前の京都でやっていた。久光はそういう戦いはしていない。ゴールデンセットも未知の領域。持久戦に持ち込めば勝機はある。そう思っていた。
そしてもう一つは単純なことで、そうなれば久光側になってしまった私の席でも目の前で優勝の瞬間が見られるからだ(笑)。2週間前のファイナル3第二戦も私の席はJT側だったが、フルセットで試合が終わったことでそれぞれのチームがスタート時のコートサイドで試合を終えていて、ゴールデンセットはそのサイドのまま始まったから、試合途中でコートチェンジがあるので試合終了時はそれぞれ逆のサイドになる。
ただ、そうなるとしたら3-0か3-2で勝ったときのみ。3-1で勝ったらこちらには来ない。座席位置が判明して自分の席が久光側と知ったときは愕然としたけれど、でもこれも運命なんだ。しかも2対1で久光側にいた方が優勝の瞬間が見られる可能性が高いじゃないか!そう思い直していた。
これが私のシナリオだった。これがもっと詳しい人ならローテーションでのクランとアキンラデウォのマッチアップから~とか、セッター・関選手のミドルからの展開が~とか言えるのだろうけれど、私はあいにくそんな知識は全く持ち合わせていない。ただ、一つ言えるのは、今シーズン多くの試合を見たことで東レアローズを流れる風だけは読めるようになっていた、ということだろうか。なにせ今シーズンだけでVリーグの試合を50試合見ているし、東レは23試合見ている。
この日、東レアローズに風は吹くのだろうか。
武蔵野の森スポーツプラザに着いて、いつものように今シーズン最後のウェルカムボードを撮り(都さん本当にお疲れさまでした!)、知り合いにたくさんあって話をした。開幕時は誰一人、会って話をする東レアローズファンは一人もいなかったのに、こうして試合前に話ができることだけでも貴重だと思った(試合前練習がなくて写真撮らなくていいからというのもあったが)。開幕時は一人で見ていたVリーグ、そして東レアローズというチームはいつしかみんなと見るVリーグ、東レアローズになっていた。
応援団による応援合戦や公式ソングを手がけたBananLemonのパフォーマンス(私はこの「(KEEP CALM IT’S) GIRLS TIME」という曲が一番好きだ。試合前練習でよく流れていたから知っていた人も多いだろう)など、ファイナルにふさわしいイベントが続き、いよいよ選手たちが入ってきた。