車体が軋むように君が泣く~トヨタ車体クインシーズ、和解なき合意~

クインシーズ刈谷
all text and photographed by
Arimoto Kazuki(有本和貴)をフォローする

年が明け、再び始まったVリーグ。何度も乗った新幹線が加速にするにつれ、久しぶりに推しのチームが見られる楽しさと、あのチームは今どうなっているんだろう、という、不安ともつかない気持ちが同時に沸き起こってきた。現実を目の当たりにしてしまう恐れ、と言った方が合っていたかもしれない。

21/22シーズンのトヨタ車体クインシーズは、このとき対戦表に14つもの黒い丸だけをつけ続けていた。シーズン前に抜けた選手もいたけれど、入った選手もいた。というより入った選手の方が多かった。しかもその中身は東京五輪の金メダリストや、誰もが知る名門校の選手、春高バレーの優勝メンバー…。全12チーム中No.1の補強と言っても間違いない陣容だった。

だが、昨シーズンこのチームをところどころ見ていて、いや、それ前からも見ていたからこそ、今シーズンへの不安があった。昨シーズンを一言で言うと、このチームにあると感じていた亀裂がどんどん明確化されていった。そんなシーズンだった。

2020年10月、11月、そして2021年2月のシーズン最終戦。その過程の中でどこかガタガタと音を立てているな、と思っていたこのチームは、最後に見たときははっきりと見える溝ができていた。その後行われたVCupでも一勝もできずに終わったことを知ったけれど、そうだろうなと思った。さすがにチャレンジマッチでは勝利して残留を決めたけれど、ファンからすれば到底納得できる成績ではなかったはずだ。

このチームは17/18シーズンに、過去最高位のリーグ3位につけた。翌18/19はリーグで4位、そして皇后杯でも準優勝と、チームは明らかに上昇気流だった。だから昨シーズン当初は、選手・ファンからも悔しさが見ていて感じられた。だが、それが「おかしい」から「なんでこうなるんだろう」とやるせなさに転化していく様は、はたから見ていても悲しかった。